白山   2017年7月7日〜8日

コース:
初日:砂防新道〜室堂
           別当出合(1250m)8:40〜9:35中飯場9:45〜10:48別当覗10:58〜12:00甚之助避難小屋(昼食)12:40〜13:15南竜分岐13:25〜14:50黒ボコ岩14:55〜15:30室堂(2450m)

2日目:室堂〜御前峰〜室堂〜観光新道〜別当出合
         室堂〜7:30御前峰(2702m)8:00〜8:30室堂8:40〜9:35黒ボコ岩〜10:50殿ヶ池避難小屋(大休止)11:30〜13:05別当坂分岐13:15〜14:15(あと1キロ地点)14:40〜15:05別当出合

梅雨真っただ中のこの季節、直前に白山登山口への道路まで雨量規制で通行止めとなり、ぎりぎりまで気を揉んだが、何とか解除され、夜行バスで出発!
ただ、当初の予定コースは最後まで土砂崩れで通行止めのまま。やむなくごく一般的な砂防新道、観光新道を利用することとする。また、当初別のロングコースを予定し、市内へのバスに間に合わないため、市ノ瀬で宿泊としたため、時間的にはゆとりが出来た。
折角の花の山、花の季節なのだから、心ゆくまで花を楽しみ、写真を撮ろうと4人で金沢に乗り込む。

バスは6時前に駅に到着、軽く持参の朝食を済ませ、予約したタクシーで別当出合まで。(登山バスの運行は翌日からだった。)着替え等を別途預けたため、少し荷物が軽くなったのは中高年登山者には大いに助かる。
別当出合からまずは砂防新道へ。橋を渡ったとたんに見覚えのある葉が。つぼみながらも1輪咲いていたのは○〇草。そしてすぐに見慣れたサイハイラン、高尾のより色が濃い感じ。
少し進めばお初のササユリも。ああ、花の白山に来たんだなあ!

ゆっくり目のコースタイムを設定し、チェックしながら登る。奇跡的な梅雨の晴れ間に感謝しつつも、日差しが強い。東京も連日の猛暑日で、みんな寝不足気味。その上、蒸し暑いしザックも重く、夜行明け。久々の耐久レース。
今日は室堂までにしたものの、それでも標高差は1200mもある。まさに『ザ・夏山』!

砂防新道は適当な間隔に避難小屋やトイレに水場まである有り難い整備されたルートのようだ。あまり山慣れていない感じの人も多い。今年は開山1300年に当たる年だそうで、そのせいで登る人も多いらしい。
この有り難い巡りあわせに加えての晴天。感謝、感謝。

中飯場で一休み。その後はエネルギーの有り余るLilyさんに先に行ってもらい、我々(中)高年3人組はマイペースで登ることにする。
照りつける日差しに負けそうだ。でも花に励まされ、亀さんペースで登る。別当覗についたものの、待ち合わせたLilyさんは居らず。多分、待ちくたびれて先に行ったのだろう。1本道だし、と我々はちゃんと休んでからまた歩く。

少しずつ新たな花が現れ始め、自然と頬が緩む私たち。でも、暑い・・・。
待ちわびた花、キヌガサソウが現れて歓声を上げる。ああ、久しぶりだ。それから花のオンパレード。とうとうサンカヨウの花も。ここまでは全部もう実になっていたので。
ショウジョウバカマがあるということは、雪解けしたばかりということ。今年は雪が多く、雪解けが遅いそうだ。雪渓の横断もあるらしい。

花、花、花に励まされ、ふ〜ふ〜言いながら開けた休憩場所に着く。Lilyさんとも合流。ここはテーブルもあって休憩にもってこい。どうやら甚之助避難小屋の至近らしいが、混んでいるだろうから、ここでお昼にする。
照りつける日差しで膝までジリジリする。標高も上がっているはずなのに、夏の日差しに負けそう・・・。しかも、虫が増えてきた。ネットという程でもないが、うるさいと言えばうるさい。
飲食して荷物が軽くなったはずなのに、歩き出すと重い。わずかで避難小屋だったが、トイレを利用し、歩き出すと、同じようなテーブルが多数ある広場があり、ピーク時の混雑ぶりがうかがわれる。

南竜分岐を過ぎるとわずかに平坦に。道端に大学生風の男の子が座り込んでいる。どうしたのかな、と声をかけると何とタケシマランに来る虫を調査中とか。暑い中ご苦労様なことだ。
さて、この先に待ち構えるのは最後(じゃなかったけど)の難所『十二曲り』。ザックが軽くなっても、標高が上がっても、足取りはどんどん重くなる。でももうひと頑張り。
沢沿いはリュウキンカの群落。お花も少し変わってきた。たまに吹く涼しい風に励まされ、何とか歩き続ける。もっとも、周りの人たちも一様に青息吐息で牛歩中。

また現れたキヌガサソウ、ミツバオウレン、キバナノコマノツメ、イワナシ、コイワカガミ・・・。撮影を口実に休み休み登るうちにペースが掴めてくる。これで何とか無事登頂も期待できるかなと思っていたら、Lilyさんが休憩中。
あれ、待っていてくれたの?

実はちょっとしたアクシデントに見舞われ、我々を待っていたのだった。応急処置を施して、何とか事なきを得る。備えあれば憂いなし、皆さん必要なものはしっかり持っている。
丁度良い休憩ともなり、また一緒に歩きだす。慎重に進めば室堂につけるだろう。時折霧が出るようになると涼しい。標高も上がり、やっと高山らしくなって黒ボコ岩に到着。

あとは平坦な湿原を横断して、少し登れば本日のお宿、室堂着!
と思ったのもつかの間、干からびた弥陀ヶ原の向こうに、小屋は全く見えない。そして目の前にまだ小山が立ちはだかっている。あれれ。

五葉坂と呼ばれる最後の急登、コースタイムは20分。でも疲れた体にはどうしても1ピッチでは登れない。足を引きずり、休み休み、35分でやっと屋根が見えた。ああ、着いた〜。
ほっとして足元を見れば、何とクロユリが!

体力的にも時間的にも余力がないので登頂は明日とし、手続きをして、部屋に案内される。広い建物はしっかりしていて、きれいで広い。スタッフも親切。
今日は人数が少ないため、広々使える。ザックを下ろし、とりあえずビールで乾杯中のLilyさんたちと合流し、我々ノンアルコール組はアイスクリームで「お疲れ様〜!」

良く晴れた1日に感謝し、七夕のこの日の夜空に期待しつつ、夕方の時間を過ごす。カナトコ雲が沸き上がる空を見れば、下界も暑かっただろうと思う。今日は星が見えるかな?
ゆっくりと夕食を終えて、後はバタンキュー。ご来光が望める日は、日の出1時間前(3:30)に太鼓が鳴るらしい。我々はその気力がないのでスルーして、食後に御前峰に登ることとする。
太鼓に負けずにゆっくり寝るぞ〜。

とはいうものの、七夕でもあり、久しぶりの星空が気になって、22時ごろトイレを兼ねて外へ出てみる。
驚いたことに、トイレまでの渡り廊下も、トイレ舎の中もすべて人感で順次照明がつくことには驚かされる。今どきの山小屋全てがそうではないだろうが、まあ、びっくり。
肝心の夜空は、満月でもあり薄雲の向こうに4等星くらいまでしか見えないが、きっと織姫と彦星は会えただろう。

さて翌朝も晴天。まずは食事をし、室堂にある奥宮にお参り。お守りなどを買う。ここまで登ってきたからには、御利益もきっと間違いなし!



さて水だけ持って登り始めると、300mの標高差はなかなかのもの。でも、すぐにクロユリ、くろゆり、黒百合。カメラ片手に全然進まない。
他の花もいろいろ咲いていて、嬉しい悲鳴。焦らず何とか登りきると、奥社が立ち、山頂からは360度の大展望。わあ凄い!何と、御嶽山が噴煙を上げている。周囲の山はどれがどれ?一番近いのは荒島岳?


山頂でたっぷり展望を楽しんで、下山にかかる。水場でしっかり水を汲み、売店で更にお湯(100円と良心的。)を買ったりして、今日は観光新道へ。弥陀ヶ原は湿原という感じはなく、笹ばかり。通過し終わるころ、ようやく白山小桜とご対面。まだ時期が早すぎるのだろうか。
黒ボコ岩からは新たなルート。意外と狭く、すれ違いも大変。雪渓の通過を繰り返し、どこが難所か分からないうちにお花畑に出る。
花の数が多く、種類も多い。ノビネチドリが咲き始めてかわいい。一体何年ぶりだろう。ニッコウキスゲも群落で、あとはもう大撮影会。今日は時間はたっぷりある。心ゆくまで花と戯れよう!

ザレた下りなのでそれなりに気を遣うが、別に危険とは感じない。のんびり歩くうちに彼方に小屋が見える。殿ヶ池避難小屋だ。ここにもトイレがあるという。まだ時間は早めだが、落ち着いて休めるのでここで早お昼とする。
室堂で頼んだお弁当は鳥そぼろの載った錦糸卵のかかったすし飯。量が多いので私は半分で十分。美味しく頂き、お湯が熱いうちにコーヒーも。優雅なランチだ。

その後もどんどん下っていくが、思ったほどいつも展望があるわけではない。暑いが、下りなので水が重くてもあまり気にならない。そうこうするうちに何度か小さな起伏の登り返しを経て、やっと別当出合への分岐に着く。
小休止して、さあ、一気の下りだ。気を抜かず、慎重に。
ここからは、昨日まで絶好調のLilyさんの足取りがやけに重い。下りが苦手+昨日のアクシデントの余波+何より筋肉痛の三重苦。足はかなり痛そうだ。苦手なストックを出して、慎重に降りている。

その点、「登りは体力、下りは技術」+普段の高尾山通いのお陰か、我々おばさん3人は順調だ。ちょっぴり面目躍如、かな。
暫く進んでは待ち、進んでは待ち、で何とか別当出合まで1キロ地点までくる。ここで待っていると、ようやくLilyさん到着。相当辛そう。暑さも疲労もあるのでここでしっかり休憩する。大丈夫、時間はたっぷりある。

地図では林道を横切るようになっているが、林道見当たらず。最新の地図でも私の20年近く前の地図でも同じなのに、結局分からずじまい。沢音が大きくなり、目の前に見覚えのあるつり橋が見えてきて、別当出合到着!お疲れ様〜!
全員揃うのを少し待って、連絡バスに乗り、宿を目指した。

久しぶりの本格登山。年齢を重ね、体力も落ちたものの、まだ何とかこれ位は行けそうだと自信がついた。そして、何より気の合う仲間と支え合って登る楽しさを再確認した山行となった。

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