五地蔵山   2018年6月17日

コース:牧柵(ゲート)6:30〜7:45滑滝〜8:05帯岩〜8:15氷清水8:20〜8:45一不動8:50〜9:30三文殊〜ランチ・大休止〜五地蔵11:15〜11:20六弥勒11:22〜13:23弥勒尾根登山口〜牧場入口〜キャンプ場バス停

戸隠高原の二座目は戸隠連峰の1ピーク、五地蔵山1998m。こちらも昨日の飯縄山同様、丁目石代わりの石仏が一から順に迎えてくれ、五地蔵山を経て十阿弥陀まで進むとそこが百名山・高妻山となっている。

宿から登山口まで送ってもらい、牧場の中を歩いていく。屏風のように聳える戸隠山が眩しい。放牧中の牛を横目に、まず新たに開かれた弥勒尾根コースとの分岐。

戸隠山

これを見送り、一番奥の牧柵ゲートまで進む。この時間で既にかなりの登山者と一緒。ちょっと驚く。梅雨の晴れ間、これは確かに貴重な機会。でも、狙いはやはり・・・?

さて、情報によれば、虫が多いとのこと。ネット必携。足元もぬかるみ、スパッツ着用。さてこれで準備万端(のはず)。
今日はお花が目的なので、ちょっと勿体ないが高妻山はまたの機会に。
まずは沢沿いを歩きながら、左右キョロキョロ。お宝はいずこ?!

早速コケイラン、サイハイラン、ツクバネソウ、もう花は終わっているエンレイソウにサンカヨウ。ズダヤクシュはずっと咲いている。
そこへ虫が来襲するも、スプレーで撃退。・・・でも効果が無いのか、すぐにまたまとわりついてくる。稜線に出るまではほぼ沢沿いなので、諦めてネットを被る。視界やや不良。

途中若者のグループが賑やかに追いついてくる。どんどん先行してもらい、我々はマイペースで。周りは花だらけ。カメラ片手に相変わらず脇目を振り振り登っていく。

暫く進むと、登山口では終わっていたラショウモンカズラが所狭しと満開。その紫が鮮やか。
負けじと可憐なモミジカラマツの白、ヤマオダマキの茶と黄のコンビ、オオバミゾホウズキの黄色にタニウツギのピンク。
そっと咲いているノビネチドリにクリンソウ。期待通りのお花に励まされ、急登を頑張る。

そのうちに最初の難所、滑滝に到着。見るからに滑りそうな色の滑滝の右脇を鎖をつかんで登る。が、斜度は30度くらいなので、一旦鎖を持ち上げなければならず、これが非力な私には辛い。鎖が太くて重いのだ。腕力要るなあ。
この鎖、最上部まで放さず、しっかり掴んで登るのが正解。

ルートはどんどん険しくなり、湿気と日射しで暑くなってくる。立ち休みで水分を補給。稜線は、まだ遠い。

ブヨ?アブ?何と呼ぼうが汝は小さな吸血鬼。全く容赦ない。気が付くと、袖口から入り込み、既に数か所刺されている。まったく、もう!

次の難所は帯岩。どんな感じ?と尋ねた百名山制覇のSさんは、「帯岩?何でもないわ!」
そうなのかな〜?と恐る恐る鎖をつかむが、なあ〜んだ、なるほど、帯岩の横断は足の置き場もしっかり幅があり、鎖もがっちり。この鎖、まあ大部分は無くても歩ける。ふふふ、楽勝だね。(濡れているときと雨天は除く)。

帯岩

が、渡り切ってすぐに垂直に2mほどの壁。鎖はあるものの、しっかりした足場らしい足場が、ない
僅かの凹みにつま先をかけてみるが、つるっと滑る。おぉっと〜・・・。
う〜っむ。・・・ええい、ままよ、と腕力頼りに一気にぐいっ!落ちる前に登り切れ!・・・ふ〜っ。冷や汗。

ちょうど氷清水があり、ここで小休止。さあ、あとは一不動まで、もう一息だ。斜度はどんどん上がり、アキレス腱のストレッチ状態。でも、青空が見える。20分ほどで蒲鉾屋根の一不動避難小屋が視界に飛び込んだ。

吹き上げる風は涼しい。ベンチで一休み。振り返れば、昨日の飯縄山が目の前に。麓のスキー場がちょっと痛々しいけれど、登った山が見えるのはやっぱり嬉しい。
さあもう稜線漫歩が待っている?

時間はたっぷりある。二釈迦へむかうが、当然ながら痩せ尾根。それも結構急。でもここも花、花、花。蕾はニッコウキスゲ、大きなアザミ。白いのはグンナイフウロだろうか。
何より驚いたのはサラサドウダン。たわわに花をつけ、あっちにもこっちにも。色も濃淡あり、見事だ。
サラサドウダン

「この花を見に来たんです。」というグループを先行させ、私たちは早速撮影会。青空が眩しい。
足元にはコケモモ、アカモノ、ミヤマカラマツ、イブキジャコウソウ、マイヅルソウ、咲き始めのゴゼンタチバナ、咲き残りのイワカガミ。もう夏山気分だ。

三文殊までは距離が短い。丸太があるのでそこに腰かけ、荷物も軽くなるし、と早めの軽食タイム。強い日差しにサングラスをかける。

さて、と腰を上げると、今度は反対側に白い雪山。おお、北アルプスだろうか、絶景だ。残念なのは樹林が邪魔してなかなかスッキリとした全容が見えないこと。もう少し進めば視界も開けるだろうか。


日当たりのよい稜線ではニッコウキスゲも開き、ミヤマクワガタ?、そしてムラサキヤシオ。日陰ではミツバオウレン、ツマトリソウ。ヨツバシオガマも咲き始めている。
四普賢に向かうとイチヨウランも。ゆっくりと写真を撮りながら、心ゆくまで花を楽しむ。目の前には五地蔵山も見えてきた。左奥にはピラミッドみたいに尖った高妻山。ここを登りきるのは確かに大変だろうな・・・。

右端が五地蔵山

あ、あった、あ、これも、とちっとも進まない。ここまで来ると、高妻山まで行けるかな〜とちらっと欲が出るが、目的の花に出会えたことに感謝し、最後の登りをこなせば五地蔵山。お地蔵様の前で大休止。コーヒーが美味しい。

シラネアオイはもう終わり、残骸しか残っていないが、ここまでに実に多くの花が迎えてくれた。この出会いに感謝しつつ、ここから僅かで六弥勒。今回はこの尾根コースを下る。
近年整備されたコースで、上部は笹の根が露出する急降下。尾根なのにやっぱり虫、虫、虫。しかし、栄養がいいのか、ツバメオモトは随分大型で、またサラサドウダンやハクサンシャクナゲも。目の前には今回登り損ねた黒姫山。そのわきには妙高と火打。いやあ、いい景色だ。

しかし、次第に痩せ尾根となり、滑る上に木の根も煩い。笹や草木で隠れているが、両側は実は絶壁。転んで落ちたら命はないだろう。内心冷や冷や。慎重なうえにも慎重に降りる。

それでも結構降りたなあと思う地点に「あと90分」の標識。え?90分も??

感で言えばあと1時間で降りられそうなんだけどなあ、と思いつつ更に降り続ける。ああ、そうだ、キャンプ場まで90分であって、登山口ならやっぱり60分位だろうと思いなおす。
コースタイムは、登りに取った大洞沢との分岐までが2時間なので、休憩を入れてもそんなものだろう。「あと40分」の標識が出てからは斜度も緩み、下界の音も大きくなって、割とすぐに登山口が目に入った。
無事下山完了。
会いたかった花に会え、登りがいのある登山となった。
あとは牧場内をゆっくり進み、美味しいソフトを食べて、バスに乗り込んだ。


画像はブログでどうぞ。

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