荒島岳   2018年10月20日



コース:
中出登山口8:00〜10:04「→荒島岳3.3km」標識〜小荒島岳分岐10:49〜10:53中荒島岳11:19〜11:45しゃくなげ平〜12:00もちが壁(始点)「注意」看板地点〜12:49中荒島岳1420m〜13:05荒島岳13:20〜中荒島岳13:30〜14:14もちが壁「注意」看板地点〜14:25しゃくなげ平14:30〜15:35トトロの老木 〜16:00勝原登山口(スキー場上部)〜16:40勝原登山口(駐車場)
今回の山は福井県大野市にある百名山の荒島岳1523m。ついでに恐竜博物館と永平寺も観光することになり、楽しみだ。
バスタ新宿から京福鉄道とJRバスの共同運航の夜行バスで福井駅に向かう。天気は怪しく、午前中くらいは小雨が降るかもしれないという。それに東京も急に冷え込むようになり、慌てて着るものも厚手にしておく。
調べてみると大野に行くには非常にアクセスが悪い。福井からレンタカーも考えたが、乗り継ぎがうまく行くことを祈ってとりあえず電車で向かうことにする。

予定ではバスの到着は6:30。福井駅からのJRも6:30。3時間に1本しかないので、逃すと大変だ。どうやら1時間後にバスの便もあるようだが。大体、夜行バスは早めに着くもの。何とか間に合うだろうと思う。で、着いたのは6時30分の数分前。

バスが着くや否や降りてザックを受け取り、工事中の駅舎に走って入る。券を買う余裕はないので交通カードで。あと2分!階段も走る!
息を切らせてホームに上がると、ずっと先に赤い電車が停まっている。これが6:30発のJR越美北線。飛び乗るとすぐに発車。ああ、間に合った!

1時間ほどの乗車。車内で朝食代わりのパンを1個齧りながらスマホの「雨雲レーダー」でチェック。どうやら天気が回復に向かうのと、雨雲が荒島岳にかからない様子を確認し、時間に余裕のある今日のうちに登ることに。
難所があっても我々は「ベテラン」(!?)だし、慌てなければ No problem.(多分。)
窓の外はガスがかかっているので霧の大野城を期待するが、見えてきた大野城ははっきりと山の上にちょこんと座っていた。なかなか絵になる風景には巡り合えないようで。

さて、終点越前大野駅で降りる。可愛らしい駅。駅前に1台だけタクシーが停まっていたので先に確保、駅を出てすぐ右手のバスの駅舎内のロッカーに荷物を入れ、中出(なかんで)登山口に向かう。
このコースは登山口が少し上なので標高が多少とも稼げることと、比較的なだらか出歩きやすいという。深田久弥もこのルートを登ったとか。
感じの良い運転手さんで、最上部の入り口まで送ってもらう。

「この時間にここから出た方はみな、14:46の九頭竜線に間に合うみたいですよ。もし電車に間に合わなかったらまた呼んでください。」とのこと。
身支度を整えて歩き出す。少し下の結構広い駐車場には既に数台、上にも1台やってきた。流石人気の100名山。先行者は多そうだ。

前夜からの雨で林道は濡れている。最初は見慣れた花々。野菊(同定は難しい!)、登山道らしくなるとアキチョウジ、アキギリなどの西日本特有の花も。久しぶりに立派なオヤマボクチが沢山。
しかし、着こみすぎてちょっと汗をかいたので、休憩時に1枚脱ぐ。
「荒島岳3.3km 中出登山口(←半分文字は消えている)2.5km」標識地点で雰囲気の良いブナ林に。なるほど、急登というほどの傾斜は無く、山らしい道を歩いていく。が、全く展望なし。花もちょっと端境期か。紅葉になり初めの葉が色を染め分けて不思議。



小荒島岳はまだかなあ、と思って歩き続けるが意外と遠い。ようやく分岐に出ると既に2:50もかかっている。あと1時間で本峰に着けるだろうか??
短いながらも急登を登ると数分でちょっと開けた小荒島岳1186m。風が出て、寒い。朝食は電車の中で軽くパンを食べただけ。そろそろ11時なので、ここでもうお昼とする。1枚着こむが手が冷たい。
中出コースを取る人は当然ここにも立ち寄るようで、賑やかな若者の声もするが、こちらはひたすらパンを齧る。万一の雨に備えてのこともあり、片手で齧れる菓子パン。ま、美味しいものは降りてからで。
水分も多めに持っているが、全然減らない。ああ、今日も歩荷訓練かな・・・。

寒さで長居もできず、少し軽くなった背中に気をよくして、また頑張ろう、と腰を上げると、足元に帽子が落ちている。 あれ?さっきの若者たちの落し物かな?
多分まだ会えるだろうからと、持って行ってあげることにする。高そうな帽子だし(笑)。

晴れていればきっと本峰も見えているのだろうけれど、今日はずっとガスの中。雨が降らないだけ良しとしよう。 少し登ってシャクナゲ平の分岐。帰りはここから勝原(かどはら)登山口を目指す。

あれれ、既に12時近い。ということは、ここからコースタイム通りに降りても14:46の電車にはギリギリ。で、勝原駅からの次の便は18:44。
ということは、17:24のバスに乗るか、大野からタクシーを呼ぶしかない。(因みにバスの便は朝と夕1本ずつの2本のみ。) いくら何でも17時には下山できるだろうから、ここからは更にノンビリ登ればよいのだ。
なるほど、このJRに合わせてか、山頂方面からどんどん登山者が降りてくる。でも、私たちはこれの先にいよいよ「もちが壁」が控えているのだ。山頂まで小一時間はかかりそう。

さて「もちが壁」ってどんな感じかなと甘く見ていると、早速目立つ警告板が。「滑落注意!これより先の頂上までの登山道で滑落死亡事故が多発しています。十分注意してください」
おっと、いきなり先制パンチ。でもネットで見た感じでは、よくあるロープが垂れた段差の大きな急登みたいだったけど・・・。

登り始めると、まだそんなにどうということは無い。しかし、すれ違いで時間は使う。そのうち段差が大きくなってきて、粘土質の道と濡れた土留めの丸太に気を遣う。
どこまで続くのかなと思うと、意外と長い。また、登りはひたすら進めばいいが、これは下りが相当危ないかも。場所によっては見上げるほどの高度差で、なるほど「壁」という実感もある。

もちが壁

どれくらい登ったかな、という頃ようやく「中荒島岳」1420mの標識。顕著なピークは無いが、小休止。そのあたりからはやっとなだらかになって、ようやく人の声が流れてくる。あ、もう山頂か。



意外と開けているが、風が吹き付けてくる。山頂の標識で証拠写真を撮ってから、ちょっと戻って広場で一休み。例の帽子は落とし主もすぐに見つかり、運んできた甲斐があった。
とはいえ、風が冷たいので長居もできず、後は下るだけ、と出発。さあ、下りの「もちが壁」は相当気合を入れないと!

往路ではほぼ不要のロープをしっかり掴み、滑る足元には難儀しつつ、段差がきつい分だけ意外と早く降りていく。が、一度スリップ未遂。おっと危ない!
確かに、下りでは長〜〜い急な一直線の階段を下りる感じなので、一度足を滑らせたら重大事故に至りそう。今日は濡れているので一層慎重に。
何とかまた分岐のしゃくなげ平にたどり着いて一服。難所は過ぎたが、もう午後2時を過ぎている。なるほどロングコースだなあ。

この先は楽勝かと思いきや、やっぱり歩きにくい道が続く。
ただ、ブナ林は気持ちよく、やっと周囲を楽しみ余裕もでてきたところで、よく見ると大木があちこちで折れたり倒れたりしている。先日の台風のせいだろうか。
ひときわ太い巨木が根元から折れている。見れば「トトロの木」という標識が。ああ、これもあの強風に力尽きてしまったのかな。

執拗に歩きにくい道が続く。傾斜が減れば今度は濡れ落ち葉と石車。私もスッテン。iさんもスッテン。疲れもピーク。怪我の無いようにもう少し頑張らないと!
少しずつ日が傾いてきて、時計の針もだいぶ回ったころ、やっと「登山口」に出るものの、実はまだまだ山の中。昔のスキー場跡に出ただけ。
まあ視界が開けて下界がはっきり見えるものの、まだ標高差がある。「本当の」勝原登山口までコースタイムで30分。

ススキ野原をてくてく歩くがここがまた小石だらけの滑る道。流石に明日は筋肉痛だろうな〜。
もう歩くの嫌だ〜!と思っているとやっと舗装道路に降りた・・・と思ったが、これまたコンクリートの滑り台のような道が長々と。
Oh, my God! Give me a break!

足を引きずるように最後の坂を頑張る。膝を痛めているiさんには拷問のようだろう。その上、「登山口」(駐車場)についても、そこから勝原駅までは更に歩いて30分・・・。
辿り着いた駐車場には車が2台ほど。立派な案内板とトイレがあった。ふ〜。iさんが着くのを待って、タクシーを呼ぶ相談をしよう・・・。

見れば若いお兄さんが一人で飄々と降りてきた。元気だなあ。

ちょっと腰かけて休んでいると、降りてきたiさんがそのお兄さんに声をかけている。ん?

予感は当たり、「本当に優しい」お兄さんに勝原駅どころか大野駅まで送って頂くことに。(^-^;
車内では結構話も弾み、そろそろ勝原かと思ったらもう大野駅。彼は明日は白山に登るという。・・・優しいお兄さん、本当に有難う。

大野は小さな街のようだが、宿まで歩く気力もなく、またタクシーを拾ってお宿まで。6時前には到着できて、後はお風呂と郷土料理。
食べ終えて部屋に戻ればまだ8時。
でも我々はまっすぐ布団にGo! 

晴れていたら素晴らしい展望の山だろう。でも、今日は歩きにくい道のオンパレード。まるで訓練のようだった。

荒島岳、侮れません。久々に消耗戦の山でした。

(*1996年以来、通算455回目の山行*)

★山行のヒント★
福井駅から越前大野駅まではJRの本数が本当に少ないので、事前にチェックが必要。バスの便はそこそこあります。
越前大野駅には、駅まですぐ左手にロッカーがいくつかあります。タクシーは1台停まっていましたが、呼べばすぐ来るようです。
越前大野駅から中出登山口までのタクシーは2740円でした。
下山後の勝原駅から戻る場合も、JR,バスともに本数が非常に少ないので要注意。

すれ違いや、難所があること、そして歩きにくいルートなので、よほどの健脚でない限り、地図のコースタイムでは無理だと思います。
私たちで行動時間が8時間、某ツアー登山では10時間とっていました。余裕をみて計画することをお勧めします。



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