イナミンカとディッグ・ツリーを目指して
--バーク探検隊悲劇の地へ--



2005年の年末から2006年の年始にかけて4年ぶりにアウトバックを旅した。目的地は南オーストラリア・イナミンカ、そしてバーク探検隊悲劇の地、ディッグ・ツリーを訪れた。思えば1992年に椎名誠氏の『熱風大陸』でバーク探検隊の物語を知って以来、十数年間持ち続けた夢がかなう時がやって来たのである。
今回の旅には初めてコンパクトデジカメを持ち込んでメモ代わりに使用した。主にデジカメで撮った写 真を掲載しつつイナミンカまでの旅の模様をお伝えしたい。


Alice Springs-Ayers Rock-Marla

旅の始まりはアリスから。宿で仮眠を取ると時刻は夕方になっていた。カメラを持って久しぶりに徒歩でアンザック・ヒルに登る。陽が傾いても真夏の中央オーストラリアの日射しは肌を刺し、運動不足のワシの体を容赦なく責め付ける。頂上に着いたとき、息はぜいぜい、汗びっしょり、疲労困憊、何とも情けない状況でアリスの眺望を目にしたのであった。やれやれ、先が思いやられる。
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乾ききった体で宿に戻ると併設のバーへ直行した。お目当てはもちろん"VB"。会社の終業時刻前から飲めるなんて何と幸せなことか!久しぶりの美味に喉が鳴る。一緒に写 っている時計はパネライ・ルミノール、今回がオーストラリア旅行デビュー。300m防水の冒険時計は、苛酷な旅には欠かせないアイテムだ。
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翌日、いよいよキャンパーの旅が始まる。今回のチョイスはBritzのブッシュキャンパー。ランドクルーザー70系を改造した4WDキャンパーである。目的地イナミンカを目指すには、500キロノーサービスの無舗装路を走破できる車が必要になる。90リットルの燃料タンク二つと水タンクを備えたこの車は、頼もしい旅の相棒だ。アリスで食料と非常用の飲料水、そして大量 のビールを買い込んでいざ出発! 4年ぶりのアウトバックに胸は躍る。
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スチュアート・ハイウエイをエアーズロック方面 へ下ると、新たにモニュメントが建立されていた。1994年に開催された『キャノンボールラン』における事故の慰霊碑である。ダーウインからエアーズロックまでを速度無制限で競われたこのレースで、日本人の駆るフェラーリF40がコースアウトし、オフィシャル二人を巻き込んで四人が死亡する事故がこの地で発生した。碑文は日本語で記されている。
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この季節、中央オーストラリアは非常に高温になるため観光はオフシーズン。エアーズロックに近づいても個人旅行者の車は少なく、ツアー会社の車と時々すれ違う程度であった。写 真は道中出会った大手旅行会社AAT Kingsのツアーバス。バックミラーがバッタの触角のようだ。それにしてもクッカトゥーを大きくあしらった大胆なデザイン、毎回のことであるが、オーストラリアのデザイン力、センスの良さには感服させられる。
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アリスから440キロを走って、エアーズッロック・リゾートに到着。先程のAAT Kings同様、エアーズッロック・リゾートのロゴデザインも素晴らしい!
原油高騰の折、アリスでA$1.3だった軽油はエアーズッロックではA$1.5を超えた。既に16万キロを走っているワシのランクルの燃費はリッター当たり約5キロ、見事なまでに燃料をがぶ飲みしてくれた。燃料高と燃費の悪さ、ダブルパンチにこの先頭が痛い。
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キャンピング・グラウンドのオフィスに貼り出される天気予報は連日、気温40度を越えた。大寒波の日本から一転して、ここでは熱波がどっかりと腰を据えている。エアーズッロックの登岩路は予報が36度以上になると閉鎖される。従って、早朝の限られた時間を除いて、ずっと登岩禁止の状態が続いた。登頂を楽しみにやってきた人達は、気の毒なことに、ここから残念そうに頂上を見上げていた。それにしても暑い。焼け付く熱気の中では赤い岩肌さえもが白っぽく見える。
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エアーズッロック登岩路の駐車場で見かけたアウトバック仕様のランドクルーザー100系。フェンダーまで回り込んだルーバーと砲弾型のシュノーケル先端が目新しい。ルーフにはテントとクーラーボックスを載せ、目指すは南か北か。アウトバックで出会う車達はそれぞれ表情豊かで、どれもがカッコいい。見ているだけでワクワクさせられる。
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『ICED Coffee』、スーパーやゼネラルストアではほとんどオーストラリア中どこでも手に入るポピュラーな飲み物であり、ワシの好物である。1L入りの紙パックや2Lのボトルタイプもある。味は日本で言うコーヒー牛乳に近い。昼食は自分で作ったサンドイッチをこのアイスコーヒーで流し込むのがワシのスタイル。
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ロードハウスで出会った長距離バス。ラウンドなどでお世話になった方も多いだろう。このバスは荷物用のコンテナを牽引していた。ヘッドライト周りの巨大なルーバーを灼熱の太陽に輝かせ、目指すは遙か1300キロ彼方のアデレード。
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ノーザン・テリトリー南端のロードハウス、カルゲラ Kulgeraを後に南へ下ると、間もなくサウス・オーストラリア州との州境である。これまでに多くの州境を越えて来たが、このように立派なモニュメントが設けられた場所は希なケース。ほとんどの場合、一枚の看板で州境が告げられる。周囲はレストエリアとして整備されており、記念撮影をする旅行者一行と出会った。写 真で分かるようにサウス・オーストラリア側(写真下)のシンボルマークがなくなっている。誰かが持って帰ったのだろうか?
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スチュアート・ハイウエイとウナダッタ・トラックの分岐点、マーラのキャラバンパークにて。ワシを苦しめ続けた日中の猛暑も夕方になると勢いを緩め、これから夜にかけて一番過ごしやすい時間帯となる。キャンピングチェアを持ち出し、車載のテーブルをセットしてVBを開ける。凍りそうに冷えたビールを一気に飲む。「カーッ!」思わず声の出る瞬間。時々吹く涼風を思いきり身体に感じ、時間を日常を忘れる。だからキャンプは止められない。
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今宵の肴はアンチョビ、カタクチイワシの塩漬けである。スーパーの缶 詰コーナーで比較的簡単に見つかる。ビール党にはオススメの一品だ。強烈な塩味のパンチにビールを次々と重ねてしまう。
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2006.11.26 掲載
2006.12.03 コンテンツ追加