2000年9月07日(木)
東京:NHKスタジオ
NHK-FM「ライヴビート」公開録音

●セットリスト

  1. (Solo)
  2. インソムニア
  3. ダブルバーガー
  4. MP
  5. 地球独楽
  6. 羽毛とピストル
  7. 女を捜せ
  8. (DJ Solo)
  9. セックスサファリ問題OK
  10. ティラノサウルス
  11. R&R

田島貴男(Vocal & Guitar)
L?K?O(Turntable)
木暮晋也(Guitar)
松本健一(Sax, Keyboads)
平井直樹(Drums)
神田剛(Bass)


まるやまさん:

 18:50頃に遅れて入場すると思ったよりかなり少ない観客は80人ぐらいか。スカスカの会場を見ながら「”応募者多数のため1枚につき1名様”とあった入場券の文面は何だったんだ?」と思いながらスタジオの最後方のPA卓脇に陣取ると、Stage上では既に番組スタッフからの諸注意や今後の番組予定などのアナウンスが始まっていました。
 今日のLiveに関しては「さっきリハーサルを見たんですが、古い曲もやるようです」との説明に「お〜っ」という観客の反応。あとは「DMBQやギターフルフと対バンしてもおかしくないような感じですごくいいです」など。更に「田島さんが煽ると思いますが、そこはひとつ大人になってぐっとこらえて、あまり挑発に乗らないようにして下さい、マイク高いんで」とも話がありました。

 演奏開始までの少しの間、見知らぬ女性の人からの「今日は何曲やるんですか」との質問に、「11曲です」と答えるPAスタッフ。終演後そのPAスタッフに曲目リストを見せてもらったら、確かに11曲でした(上記の曲目リストはそのリストに基づいたものです)。

01. Solo
 '00/02/03のクアトロの時のように、まずは松本さんが一人で登場し、シンセから出されるパルス音を様々な音色に変化させながら不規則なリズムを鳴らし始める。「ミューン、ミューン」あるいは「ピキューン」といった音が徐々に重なりながら、やがて早くなっていきました。

 松本さんのソロの演奏が約5分程たった頃メンバー登場。以前にも増して大きくなったアフロヘアのL?K?Oはリュックを背負って、木暮っちはますます伸びた髪をまとめるためかデニムの帽子をかぶり、上半身は赤のパーカ。神田氏はキャップとスケーター・ファッションでいつもの感じ(って、見たのは'00/07/29のP-STOCKに続いて今回で2回目なんですけれど)。
 最後に登場した田島っちはフレッドペリィの黒のポロシャツ。余程気に入っているのでしょうか? そのポロシャツ。
 Guitarは田島っちが白のモズライト。木暮っちはローランドのギターシンセ。

02. インソムニア
 「ダダダダ・・・」というたたみかけるようなBassのリフにのせての歌い出し。とにかくBassの音が低くて太いのにやたら嬉しくなってしまいました。やはりBassistの交替はバンドのグルーヴに自ずと変化をもたらしたようです(蛇足ですが、彼も以前の沖山さん同様、フィンガー・ピッキングですね)。
 間奏部ではインプロヴィゼーション風の演奏。最後の「ネムラナイ ネムラナイヨル」のあとに「Yo!」というワン・フレーズの追加。この感じ、結構好きです。

03. ダブルバーガー
 松本さんがBaritone Saxに持ち替えて曲の最初からVocalに拮抗する様にフリー・フォームのソロを吹いていました。人によっては「SaxがVocalのジャマをしている」ように思ったかもしれませんが、アタシは松本さんのSaxが醸し出すアヴァンギャルドな雰囲気が楽曲に新たな価値観を付加していて、良いと思いました。
 Guitarのユニゾンのパートでは、田島っちは木暮っちと並んで弾いていました。まぁ、リフを合わせるためには別段珍しいことでもないんですが、こういう場面を見ると嬉しくなってしまうんです。

04. MP
 打ち込みによるあのジャストなタイム感をどれだけ生演奏で再現できるかがこの曲をLiveで演奏するときのPointですが、今日はリズムのキメが甘く、ちょっとルーズに流れてしまったようでした。
 松本さんはElectoric Piano−Baritone Sax−再びElectoric Pianoと楽器を替えていましたが、Saxはこの曲でもフリーのインプロ風といった具合に、今回は松本さんのSaxが今まで以上に全編で自己主張していました。
 L?K?Oは'00/07/20にHMV渋谷で行われた、J-Waveのイヴェントでも使っていた植村直己さんのドキュメンタリィ・レコードからの「準備は完全に終了しました」というフレイズを使ってScratchしていました。
 この曲での田島っちはGuitarを適当というか、ほとんど弾いていませんでした。

 ここで田島っちは最近使用している、いつもの赤のギターに持ち替えました。

 MC:「新しいアルバム『ビッグクランチ』から「地球独楽」をやりたいと思います」

05. 地球独楽
 この曲の重要な要素であるStringsのパートはSynthとGuitarで上手くカヴァー出来ていたので、不足感はありませんでした。
 「ダーリン〜」はAlbumのVersionにはないハイトーンで唄っていました。カッコイイです。
 『ビッグクランチ』を聴いたときにも感じていたのですが、ここ最近は”ヴォーカリスト田島貴男”が再び主役に戻ったようで、嬉しい限りです。
 演奏的に余裕があるからか、木暮っちは時折何度もネックを垂直に上げてポーズを取ったりしていました。

 ここで再びGuitarをモズライトに持ち替える田島っち。

 MC:こういう風に自分たちの演奏を贅沢に1時間放送してもらえる事に感謝してます。普通は色々制約があるんですが、最近はNHKも制約がないっていうか、いい番組だなと。過去にもDMBQとかROVOとかいいバンドが出ているんで、こういう番組があと200個ぐらいあると日本もいいなと思うんですが」
 MC:「次は古い曲をやります。『L』というアルバムからバラードを」

06. 羽毛とピストル
 ハイハットが刻むリズム乗せての歌い出しはまさに「接吻」風。Soul好きなアタシにはたまらないArrangeです。Vocal以外の箇所でもFakeを入れまくり。田島っちも曲にかなり入り込んで唄っているようです。「ベイベェ〜」は'00/05/27のFACTORYの時のようにファルセットで。その終わり頃から徐々に入るDrums。やがて田島っち自ら手を叩き始め、客にも手拍子を要求。この曲での手拍子は新鮮でした。
 曲はそのまま『XL』収録のStudio Live Versionと同様にインストへと繋がりましたが、そこでは田島っちと木暮っちのGuitarが揃って「ジャッ, ジャッ」とハードなリフを入れてくることで、それまでのSoul的風景から一変。二人揃ってヘッドバンキングをしながらのハードな雰囲気の中に松本さんのアヴァンギャルドなSax Soloが加わることで一概にハードという言葉でくくれないというちょっと不思議な感じがしました。
 田島っちのShoutが入ったあと、そのままBassとGuitarのリフだけがメインになり、次第に田島っちはだるそうにギターを弾きながら「ベイベェ〜 愛してるよハニー〜」と抑揚のない歌い方に変わり、そこからはまるでニューウェーヴ風。1曲の中でこれだけ雰囲気がいくつにも変化するというのに驚くというか、感心させられるというか。

07. DJ Solo
 田島っちはGuitarを降ろしてL?K?Oを指さし退場。この場面、事もなげに当たり前のように行われていましたが、個人的にはこの展開に驚いてしまいました。
 Stage上に田島っちがいなければそこにいるBandは”オリジナル・ラヴ”ではなくなり、それではStageが成立しないと思いこんでいたわけですが、そこでMemberに演奏を任せてしまうというのはそれだけ現在のLive Memberと”バンド”という意識が持てているということなのでしょうか。
 曲はTitleの通り、L?K?OのTurntableをメインにしたインスト。途中これも以前耳にしたことのある雅楽のフレイズが挟み込まれた3分程の演奏でした。

08. 女を捜せ
 てっきり「R&R」のP.V.での革ジャンでも着てくるのかと思ったのですが、ただ髪を手櫛で梳かしてきただけでした。
 メモを執るのに手一杯だったのでアタシは聴き逃してしまったのですが、他の人から訊いた話では神田氏がBassを一瞬フライングしてしまったそうです(Live後は反省会でしょうか?)。
 個人的には『ビッグクランチ』Versionのソリッドさが足りなく感じられて、好きな曲だけにちょっと残念でした。
 最後には「NHK!」をエフェクターやサンプラーにかけながらの連呼。

09. セックスサファリ問題OK
 田島っちは間奏部で「25! 25years Old!」と叫んでいました。L?K?Oは『XL』の「羽毛とピストル」でも使われている女性のあえぎ声のフレイズを挟み込んでいました。

 MC:「今の曲は『セックスサファリ問題OK』という曲でした。この曲がNHKで放送されるのはとても嬉しいです。僕が以前いたバンドに「セックス・マシーン」という曲があるんですが放送禁止になりまして、あと「リップ・サーヴィス」という曲もダメと。セックス・マシーン、セックスサファリ・・・。次の曲行きます」

10. ティラノサウルス
 サンプラーを同時に使用して打ち込みのリズムを鳴らしていたからかもしれませんが、この日の演奏は今までで一番『ELEVEN GRAFFITI』収録のOriginal Versionに近い雰囲気を感じました。
 松本さんはこの曲でも全編Baritone Saxを吹いていました。P-STOCK LIVEでは良く聴き取れなかったL?K?Oによる間奏部でのTurntable Playも、今回ははっきりと聴けました。

11. R&R
 この曲では田島っちはGuitarをギブソンのファイアーバードに、木暮っちはメイプル・ネックのテレキャスターに持ち替えていました。この曲に入る前に「君が代」を弾く田島っち。アタシは今回初めて聴きましたが、これってジミヘンの「Star Spangled Barner」を意識してなのでしょうか(リストには”ダブルバーガー(イントロソロ有り)”と書かれていたのですが、たぶんこれがそうだと思います。だとしたら、直前に変更になったのでしょうか?)
 所々自分でMelodyを勝手に変えながら最後まで弾き倒し、すべて弾き終えたところでようやく平井氏のCountでStart。間奏部では「シブヤ! シブヤ!」との連呼。やっぱり染みついているんですかねぇ。
 木暮っちは「LaLaLa〜」やサビではコーラスを取っていました。思えばMemberがコーラスを入れるのも、以外と珍しい光景なのではないでしょうか。
 最後はピックを投げまたGuitarを降ろして、何を思ったかマイクを外してマイクスタンドを客席に投げてしまい(受け取った観客は最後まで垂直に立てて持っていました)、その後DMBQよろしくドラムセットのシンバルも持ち上げようとしましたが、これは挫折。それでも懲りずに今度はL?K?Oの前のモニタースピーカーを持ち上げようとしたが重すぎてか、これも断念(当たり前か)。その時L?K?OはTurntableを抱え上げて台に乗り、木暮っちはモニターの上に乗っていました。
 田島っちはそれでも収まらないのか、最前列の観客の手にタッチした後にGuitar Ampの上に置いてあったミネラルウォーターのペットポトルを投げ飛ばし、Stageから一人でさっさと引き上げようとしました。そんな中で合図を待ち続けている平井氏に気付いて田島っちが合図を出し、Drumsに合わせてようやく演奏終了。

 その後Live Memberが退場して、オリジナル・ラヴのStageは終了しました。

 最終的には1時間を超えていたので放送時には若干の割愛があると思いますが、この日見た光景が音だけで聴いたときにどれだけ感じ取れるか、後日のOn Airを楽しみに待ちたいと思いますです。


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Page Written by Kiku^o^Sakamaki