「恋文心中」

単行本 文庫 新装版


雪女郎
一月の大雪の降った晩に深川の材木問屋甲州屋の番頭が雪女郎を見たと言う。その番頭が雪まみれになって死んでいるのが見つかった。
浅草天文台の怪
両国回向院の出開帳に武者の亡霊が出るという噂がたった。天文方の井上丈太郎は質入れした後不明の先祖代々の重宝の兜を探していた。
恋文心中
東吾は軍艦操練所で昵懇になった坪内文二郎という男からやっかいな相談をされた。彼の妹が仕えるさる御後室が大事な文を盗まれ強請られているという。
わかれ橋
その昔るいと琴の稽古で一緒だった紙問屋大和屋のお喜久がかわせみに宿を求めてきた。夫の新助に殺されそうだから家を出てきたと言う。
祝言
六月末のおだやかな夜、東吾とるいの祝言が行われた。源三郎夫婦がるいの親代り、立会人が松浦方斉と斉藤弥九郎という型破りな祝言であった。
お富士さんの蛇
神田の小間物問屋吉野屋の娘お初がお富士さんの厄除けの蛇を首に巻かれて死んでいた。そして今度は大和屋のおたかがお初と同じ厄除けの蛇を首に巻いて殺された。
八朔の雪
東吾は講武所の仲間に吉原の八朔見物に誘われ、仕方なしに吉原に繰り出した。そこで一晩飲み明かした奴が殺された。
浮世小路の女
女講釈師の菊花亭秋月が神田の高橋良典という医者を強請ったと訴えられた。秋月に会いに行った東吾は「幼顔ってあんまり変わらないものですね」と言われる。


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