「かわせみ」には数多くのおいしそうな料理が登場します。 まだ東吾とるいが忍ぶ仲だった頃、いつ東吾が訪ねて来てもさっとおいしい料理の膳が運ばれてきました。源三郎もうらやましがったくらい。 季節を感じる旬の味、おいしい酒と肴。 そんな「かわせみ」に登場した旬の料理の数々を集めてみました。 |
|1月〜6月|7月〜12月|
7月 | お役者松 | ぬた | 返事のかわりに、お吉がぬたを運んで来た。 眉をしかめ、それでもうまそうに東吾は早速、ぬたの小鉢へ箸をのばす。 自分に似た男が「かわせみ」の板場にいるのは、ちょっと気になる東吾? |
息子 | 旬の味 | 焼き茄子に鹿尾菜と油あげの煮つけ、それに山芋のすりおろしたのは、るいが器用に卵を合せて渡してくれる。 | |
お富士さんの蛇 | 西瓜 | せっせと西瓜の種子を除っていたるいがすぐに台所へ行って、よく冷えたのを二人分、お吉に運ばせる。 西瓜に塩をふりながら、源三郎はあくまでも神妙である。 |
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花世の冒険 | お八ツ | 筍の若いところの皮をきれいに洗って、その中に梅干の種を取ったのを砂糖をまぶして挟み込み、丁寧にたたんだのを、 「ここにお口をつけて吸ってごらんなさい」 |
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8月 | 秋の蛍 | 旬の味 | 膳の上にも、夏の味が並んでいた。茄子の焼いたのに、胡麻味噌たっぷりかけたのだの、冷や奴には鰹節とおろした生姜が風味を添えている。 |
夕涼み殺人事件 | 素麺 | こいつは滅法、旨い素麺でございますから、神林様の若旦那がおみえなすった時に、召し上がって頂いて下さいまし。 | |
金魚の怪 | 旬の味 | 膳の上には、枝豆の青々と茹で上ったのと、豆腐のあげだし、茄子のしぎやきと、さっぱりした手料理が並んでいて、源三郎が相好を崩した。 | |
蛍沢の怨霊 | 葛菓子 | 御蔵前片町の鶴伊勢屋の名物で、葛で小豆の煮たのを包み込んだ菓子で、兄、通之進の好物であった。 通之進さん、お酒はだめだけど、かなりな甘党ですね。 |
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八朔の雪 | 旬の味 | 焼魚に大根と蛸の煮付、菜のひたし、豆腐汁で飯を食いながら、 | |
笹舟流し | 旬の味 | 青々と茹で上った枝豆に、子持ち鮎、茄子の田楽やら、鯉の洗いなどを見廻して満足そうに膳の前に腰をすえる。 ほんと、宗太郎さんって何でも美味しそうに食べますよね! |
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9月 | 六阿弥陀道しるべ | 水羊羹 | るいに呼ばれて、水羊羹に宇治の煎茶を一服頂いて、東吾の話に耳をすましていたものである。 |
鮎の煮びたし | 八丁堀の道場で一日、稽古に汗を流して、帰りがけに「かわせみ」へ寄り、子持ち鮎の煮びたしで一杯やっていると | ||
雨月 | 松茸飯 | 「申しわけございません。おるいさまに手伝って頂きましたの」 七重が松茸飯をよそった塗りの椀を運んで来る。 |
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名月や | 五色団子 | 「今日はちょっとお暑うございますから・・・・・・」 とお吉が冷えた麦湯と一緒に五色の団子を運んで来た |
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10月 | 倉の中 | 秋茄子 | お吉が熱い番茶に秋茄子のいい色に漬ったのを添えて運んで来た。 |
時雨降る夜 | 旬の味 | 松茸の焼いたのに、鮑の蒸し物、豆腐の田楽と、東吾の好物ばかりを膳にのせて、 | |
かくれんぼ | 蛤の土手鍋 | 得意そうにお吉が長火鉢の上に蛤の土手鍋をのせ、徳利を銅壺に入れる。 | |
蝦蟇の油売り | 氷砂糖 | この氷砂糖をすり下した生姜と共に熱湯でうすめてさし上げると、お咳によく効きますから・・・・・・ | |
浦島の妙薬 | 穴子鮨 | 居間に腰をすえた宗太郎の前に、とりあえず酒と、お凌ぎにと板前が松茸を焼き、穴子の鮨を小さく握って運んで来る。 | |
冬の桜 | 牡丹餅 | 十月初亥の日は、いわゆる亥の子の祝いで、この日、餅を食べる祝儀がある。武家では紅白の餅を殿様から頂戴するが、町屋では牡丹餅であった。「かわせみ」では東吾が黄粉を好むので、餡と黄粉を二色であった。 東吾さんってほんとに黄粉餅が好きみたい。お墓にお供えした黄粉餅もさっさとつまんでいましたもの。 |
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11月 | 阿蘭陀正月 | 土手鍋 | 土手鍋を持って来たお吉が早速、素頓狂な声を出した。 |
12月 | 伊勢屋の子守 | 蕎麦饅頭 | ちょうど長寿庵も暇な時刻で、客のいない店先で、近頃、長寿庵名物になっているという蕎麦饅頭を御馳走になり、お吉が長助の女房からその作り方を訊いている |
江戸の節分 | 厄払いの膳 | 台所では板前が里芋や人参、大根、牛蒡などの煮しめを作り、豆腐の味噌汁に塩鮭を焼いて、厄払いのお膳の支度をする。 | |
鍋 | 東吾が誘い、源三郎も嬉しそうに上り込んで、早速、鍋を囲んだ。 鍋に鱈や豆腐を足していたるいが訊ねた。 源さん、よーく「かわせみ」で御馳走になってるなぁ |
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きなこ餅 | 黙々ときなこ餅をお相伴していた東吾が笑った。 | ||
夢殺人 | 土手鍋 | 味噌の煮える、いい匂いをただよわせながら、お吉が土手鍋を運んで来た。 | |
冬の海 | 粟餅 | お吉が粟餅の焼いたのを運んで来た。 深川の長寿庵の長助が届けて来たもので、東吾の好物であった。 |
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粟汁粉 | 東吾を相手に、そんな話をしている所へお吉が熱い粟汁粉を持って来た。 |