年の瀬を迎えて、気ぜわしくなってきました。そろそろ、今年1年、目標通りできたこと、できなかったことに思いをめぐらせている方も多いと思います。そこで、今月は、「時間」について少し考えてみます。
時間に関する格言、名言は驚くほどたくさんあります。代表的なものとして、「Time flies like an arrow.(光陰矢のごとし)」、「Time is money.(時は金なり)」、「Time and tide wait for no man.(歳月人を待たず)」という英語のものから、「少年老い易く、学成り難し。一寸の光陰軽んずべからず。(朱子)」、「歳月人を待たず(陶淵明)」という中国のものまで、「時間」、「格言」でWebサイトを検索すると実にたくさんのことばが出てきます。(なぜか日本製が少ないような気がします。)
洋の東西を問わず同じ趣旨のものも多く、そして、それらの大部分が、「時間の過ぎ去る早さ」と、そして、「過ぎ去った時間は決して取り返すことができない」ということを警告しています。すなわち、時間は、思い通りにならないものの代表といえます。
時間の特徴をもう一つ。皆さんも感じておられると思いますが、だんだん時間の経つのは早くなるということです。「人間の感じる時間(心理的時間)は、年齢に反比例する(注1)」のです。すなわち、5才の子どもの1時間と、10才の子どもの2時間と、25才の若者の5時間と、50才の10時間は心理的には同じ長さだというのです。この法則によれば、私は、小学生だった頃の5倍以上の時の流れ中で過ごしていることになります。人間年を重ねるにつれて、時間の過ごし方に対して、より一層真剣にならなければいけないということだと思います。
ではどうすれば、時間を有効に使うことができるのでしょうか。人類が誕生して以来、この問題に答えはでていません。従って、私もここでその秘訣を述べることはできません。しかしながら、毎年、年末に後悔を重ねてきた私が、自戒と反省を込めて申し上げられることは、結局、「やろうと思ったことはやり遂げる」という強い「意志」以外に「時間」に対抗できるものはないのではないかということです。
では、「やろうと思ったことをやり遂げる」という大変に難しいことを可能とするためにはどうすればいいでしょうか。それには、たとえ個人的な目標であっても、
1.まず、きちんと計画を立てる。
2.それを、書き表す。
3.計画と現実をきちんと比べる。
4.必要であれば、計画を修正する。
という、ごく当たり前のことに尽きるのではないでしょうか。
なかでも、私は、「書き表す」ということがとても大切だと思います。自分の目標を書くなどということは、いささか気恥ずかしいのですが、紙に書けば、その過程で、不十分な点があれば気付くこともできますし、また、ごまかしはきかないので、その後の現実とのギャップもはっきりします。そして、もう一つ大切なことは、計画と現実にギャップができたからといって、がっかりしないことです。まして、計画をあきらめないことです。あきらめずに、また、計画を練り直して、チャレンジを続けることが重要と思います。(最近「夢を実現するダイアリー」なるものが売れているそうですが、まさに、この仕掛けではないかと思います。)
もちろん、以上書いたとおりにできていれば、私も、きっと今より何倍も充実した人生を送っていたと思います。しかし、今からでも遅くはありません。「時間の使い方の最も下手なものが、まずその短さについて苦情をいう」という耳に痛い格言もあります。来年は、今年より少しだけ時間の有効活用ができるようお互いに頑張りましょう。
(注1)その理由は、10才の子どもが感じる1年は、人生の1/10、50才の感じる1年は、人生の1/50だからだそうです。従って、10才の1年は、50才の5年に相当するというのです。何となく納得できますね。これは、フランスの心理学者ジャネーという人が提唱した理論で、提唱者にちなんで「ジャネーの法則」といわれています。(私は見ませんでしたが、このジャネーの法則は、今年の1月に「トリビアの泉」でも取り上げられたそうです。)
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