私は、サッカーの中田英寿のかなり熱心なファンですので、今回のワールドカップの一次リーグ敗退という結果には勿論、それ以上に中田の引退にがっかりしています。(どちらも、何となくそうなりそうな気はしていましたが・・・。)
私が中田のファンになったのは、彼がまだベルマーレ平塚にいて、フランスワールドカップに向けた最若手の代表メンバーとして「尖った」発言を続けていた頃です。その後も、SkyPerfecTVに加入して、欧州に渡った彼のプレーをずっと追っかけてきました。
ファンになった理由は、色々思い浮かびますが、なんといっても、今までのスポーツ選手とは全く異なった雰囲気を身につけていたからだったような気がします。現地のマスメディアのインタビューに通訳なしで応対していることにも大変感動しました。
そこで今月は、私なりの中田選手へのオマージュの意味もこめて、(ちょっと唐突ですが)「外国語ノスゝメ」です。
日本は、ハードウェアの世界では、世界の市場のトッププレーヤーと言ってもいいのではないかと思います。電子機器、家庭電化製品は勿論、最近は自動車も世界を圧する勢いですし、斜陽といわれた鉄鋼産業も十分盛り返してきました。しかしながら、ソフトウェアの世界では、世界市場に対抗できているとは言えない状況が続いています。かろうじて、ゲームソフトとアニメが世界と対等以上の戦いをしているくらいでしょうか。
その理由は、色々考えられますが、私は、「言葉の壁」がその一つではないかと思っています。ハードウェアの世界には余り言葉の壁はありません。日本が開発し、生産したものは、ほとんど無条件に世界で通用します。それに比べると、映画、音楽(特に歌)、出版といったソフトウェアの世界には言葉の壁があります。その中では、ゲームソフトやアニメは比較的言葉の壁は小さい(割に簡単にそれぞれの言葉に「吹き替える」ことができる)ということが善戦している理由だと思います。
ソフトウェアというのは、ハードウェアに比べて開発コストが高く、複製コストが安いのが特長です。(特に、コンピュータソフトは、費用のほとんどが開発コストですね。)したがって、たくさん売れば売るほど、効率の高いビジネスができます。ソフトウェアは、スケールメリットが極めて大きい産業といえます。それは、とりもなおさず、世界で広く通用するものだけが生き残ることができるということです。マイクロソフトやアメリカの映画産業を見ていると強くそう感じます。
翻って我がソフト業界を見てみると、今のところ業務系のソフトは、日本独自の商慣習と、逆の言語バリアに守られて外国勢との熾烈な競争に曝されているというほどではないように見えます。しかし、ソフトウェアがスケールメリット勝負である以上、いずれ日本のアプリケーションソフトもデファクトスタンダードの座をかけて(=生き残りをかけて)グローバルマーケットで戦う日が来ると思います。
その日のために、特に次代を担う若い方々、日本語以外に少なくとももう一つの言葉でコミュニケーションできる力を蓄えておきましょう。(若い人たちだけに押しつけるのはいけないのかもしれませんが・・・)
通訳付きで試合ができる野球は極めて特殊な例として、イタリア語、英語を自由に操る我らが中田は勿論、ゴルフの藍ちゃん、卓球の愛ちゃんなど海外で大活躍するアスリート達は、皆その国の言葉を身につけています。また、逆のケースの見事な例としては、朝青龍がいますね。
その国の言葉ができずしてどうして対等に戦うことができるのかというのが、真の一流プレーヤーの意気込みではないかと私は思っています。
参考のために宮里藍が6月に行われた全米女子プロ選手権で3日目にトップに立ったときのインタビューの内容をこちらに掲載します。(LPGAの公式ホームページから抜粋しました。)素晴らしいですね。私たちも、中田並みとは行かないまでも、藍ちゃんには負けないよう頑張りたいものです。
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