この本の前に、本を一冊読み通したのは、この読書記録に依れば昨年の12月。実に8ヶ月ぶりということになる。退任間際の半年が特に忙しかったというのが主な理由だが、他にも色々なことがあって、なかなか大変な8ヶ月だった。(この辺りは、落ち着いたら何か書き物に残したい。)
この間も勿論全く本を読まなかったわけではなく、何冊も手に取ったのだが、どうしても最後まで読み通せなかった。そこで、もう一度本を読む習慣に戻るのに誰の本が一番いいだろうと考えて選んだのが、この伊坂幸太郎の最新作。
伊坂作はどれも好きだが、特に「死神の精度」は大好きな作品であり、その続編ということもあって、目論見通り最後まで一気に読み通すことができた。ということで、本書が記念すべきリ「タイア後最初に読んだ本」という栄誉に浴することになった。
文句なく面白いのだが、所々冗長という印象も残った。伊坂さんのお話はあまり長くない方がいいのではないかと思う。「死」を巡る様々な記述ややりとりは、知的だし、刺激的だし、考えさせられることも多い。必要以上に形而上学的でもなく、必要以上に感傷的でもなくとてもよいと思うのだが、もう少し簡潔な方がストーリーを阻害しないのではと感じた。
これは前作も同じかも知れないが、死神の活躍がご都合主義的な感じがするのも、あまりに度々その機会があるからだろうと思う。
以上、「あえて言えば」のコメントで、本書のお陰で「読書できない病」から脱出できたのだから、文句を言えば罰が当たる。伊坂さんらしい「快作」であることは確かです。 |