読み終わるのがもったいなくて、本当にゆっくりゆっくり読んだのだが、とうとう読み終えてしまった。
小生は、小澤さんの大ファンであり、また、村上春樹さんの大ファンでもあるのだが、そうでない人も、音楽が好きならば、本書は必読の名著だと思う。
音楽を奏でるとはどういうことか、音楽を聴くとはどういうことか、音楽を味わうとはどういうことか、これほど色々なことを考えさせてくれる本はないと思う。稀代のインタビュアー村上春樹ならではの素晴らしい記録だと思う。
小澤征爾がどれほどすぐれた指揮者か、今さらいうまでもないことだが、これを読むと、その凄さがあらためて分かる。そして、村上春樹の音楽の聴き方もただならぬものがある。この二人が出会って、真剣勝負をすれば、こういう驚くべき本ができるということだろう。
昨年の夏も、小澤さんの休演を目の当たりにして、小澤さんの体調をとても心配しているのだが、しかし、彼が病気をしたことでこういう本ができたと思えば、悪いことだけではなかったと、少しだけ心が安らいだ。 |