1ヶ月半以上かかってしまったが、やっと読了。時間がかかった理由は、面白くなかったからではない。むしろ、逆だと思う。
元々600ページ近い本の2冊組だから、普通の本の3冊分以上はあるから、多少時間がかかるのは仕方ないのだが、なんといっても力作で、内容も、簡単にさっと読み飛ばすというよりは、ストーリーの展開を楽しみながらゆっくり読むにふさわしい充実振りというのが、時間のかかった最大の原因だと思う。
今の地球文明滅亡後のお話しで、一つ間違えば、荒唐無稽と言ってもいいようなストーリーなのだが、それが、実に緻密で、破綻のない世界として描かれ、また、作品にちりばめられたおびただしいメッセージも、とても心に響く。
分類すればSFということなのだろうけれど、こういうものでも、これほど暖かくそしてウェットな世界がかけるのだということに感激した。
長い長い物語だが、全ての伏線はきちんと回収され、結末のないままに放棄されたエピソードも一つとしてない、ほとんど、完璧といってもいい構成だ。
よほど、緻密な方法で書かれたのか、或いは、物語の神が降臨したのかいずれかに違いない・・・。
貴志祐介の本は初めてだが、まだに、「奇才」というキャッチフレーズに過不足はないと思った。
(でも、この本は、彼にとっても会心作だと思う。)
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