森絵都さんの大人向けのお話し。
いつかの「カラフル」と同じように本の雑誌のベストテンに入っていたものであるが、これもなかなか良かった。
本の雑誌の「ベスト10」選考過程の座談会は、どこまでがまじめなのかよくわからないが、結果的には、最近の「このミス」なんかよりずっと充実しているような気がする。(たくさんの人が投票するというのは、結局、特徴が失われてありきたりになってしまう。本の雑誌のように、断固「偏見」でやった方がおもしろいということなのだろう・・・。)
この「ベスト10」では、安定した作家の安定した作品と、全く知らない人の(あくまで私が知らないというだけだが)思いがけない作品に巡り会うことができるので、毎年これを楽しみにしている。
前置きばかりが長くなったが、「和解」をテーマにしたこの作品は、本を読む歓びをしみじみと感じさせてくれるものである。こういう作品には、「ケチ」はいくらでもつけられるだろうが、世界と和解する主人公の気持ちの書き方はなかなか素晴らしいと私は思う。
「ゆるし」や「癒し」や「和解」は、テーマとしてはイージーだと思うが、きちんとかけたものはそれほど多いわけではなく、それを探し出して読むのが読書の醍醐味かなと思っている。
少しほめすぎかもしれないが、新年最初に読み終わった本としてはとても良かった。
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