昨年の「このミス」でこの作者のことを初めて知った。東北大卒の元「SE」という異色のキャリアの持ち主らしい。
おもしろかった。こういうのはとても好きである。
まず文章がよい。文体もよい。とてもしゃれていると思う。
テーマは、考えようによっては重い。「本当はどうあるべきなのだろう」と思わせるものである。しかし、それをこの作品は実に適切に扱っていて、十分共感できる。「白夜行」や「永遠の仔」と対極をなすテーマだが、家族と血の問題をミステリーにすればこうなるのだろう。DNAに対する態度も実に適切。謎解きも過不足なく、登場人物もエキセントリックに過ぎず、それでいて十分カッコイイ。
同じSEとして、小生にもこういう物が書けないだろうかと思わず考えたりもするが・・・。
2年越しの本となったが、年頭に読む本としては、なかなか良かったと思う。今年もがんばって本を読もう。
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