この本は、「本の雑誌」の2001年のベストワンである。(私は、このところ、このベストテンを、少し信用している。)
これも、それを裏切らないものだったと思う。
私は、大変単純な読者なので、多少おとぎ話であっても、「きれい」に書けている本には、全く弱い。(この手の本は、最後のところは電車では読めない人なのです。)
久しぶりに、本書の中に輝くばかりの「マドンナ」を発見したわけだが、その故に、途中から、この話をを中途半端に終わらせたら、許さないぞと思いながら読むことになった。(多分おおかたの読者もそうだろうと思う。)
結論を言えば、この結末はできすぎだと思うし、ひょっとしたら、この後日譚はいらないのではないかと思うけれど、しかしこれはこれで十分許せるという感じである。
「後日譚」のところだけ、僕に書かせてくれないかなと思う。そう思う読者もきっと多いに違いない。
とにかく、偶然は必要以上に多すぎるし、葛藤は単純に解決しすぎるし・・・腑に落ちないところはたくさんあるが、それでも、この輝くばかりのマドンナのために、すべて許すと・・・。
こういう本が読めて、本当によかったと思う。
死ぬまでに、あと何冊もこういう本に巡り会いたいものである。
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