アンの愛情の言葉 第44回
ギルバートは森の木陰の路を歩きながら、横目でちらりとアンをとらえ、こんなにきれいな姿を見るのは初めてだと思った。アンも時おり、目のはしで彼を見やりながら、病気をしてギルバートはなんと大人びたのだろうと感じた。少年時代が、永遠に過ぎ去ったようだった。
Gilbert, glancing at her sideways as they walked along a shadowy woodpath, thought she had never looked so lovely. Anne, glancing sideways at Gilbert, now and then, thought how much older he looked since his illness. It was as if he had put boyhood behind him forever.
モンゴメリ作『アンの愛情』 第41章より
"Anne of the Island" by L.M.Montgomery
新年あけましておめでとうございます。
お正月は、いかがおすごしでいらっしゃいましたか。
今年最初のメルマガは、20代のアンとギルバートの初々しい森の散策です。
前回のメルマガでは、ギルバートが大病をして危篤となった夜、アンは、自分が彼を愛していたことに気づき、プロポーズを断って彼を苦しめた自分の未熟さを悔やんで苦悩する場面の言葉をお届けしました。
幸い、ギルバートは快癒して、ふたたびアンを森の散歩に誘います。
しかしアンはもはや、今までのアンではありません。
ギルバートへの恋心を自覚している22歳の若い娘です。
そしてギルバートもまた、アンへの愛を抑えきれずにいます。
そんな年若い男女が、森の木陰の道を歩く時、はにかんで、目の端で、ちらりちらりと相手を見やり、たがいに、ますますステキだと思う場面です。
モンゴメリはことさらにセンセーショナルな恋愛描写はしていません。
けれど、たがいに目の端でそっと相手を盗み見て、ドキドキしている様子が伝わってきて、私はとても好きな場面です。
そして、こんなふうに純真で、初々しくて、優しい気持ちを、いつまでも忘れたくないと思い、今日、あなたにお届けしたいと思いました。(次へ)
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