ミヤコグサ

ミヤコグサは鮮やかな黄色の蝶形をした花を付けるマメ科の植物で、都草と書き、京都の東山に多かった事からミヤコグサの名が付いたとする説が有力であるが、漢名の脈根草からミャクコングサが転訛してミヤコグサになったとする説もある。 花の形が烏帽子(エボシ)に似ている事からエボシグサとも呼ばれる。
麦類の栽培と共に渡来した史前帰化植物で日本全土に分布するが、この日本に古くから自生するミヤコグサに対し、近年ヨーロッパから帰化したセイヨウミヤコグサも勢力を伸ばしており、花はほとんど同じであるが、セイヨウミヤコグサは花の付く数が多く、葉や茎に毛を持つので区別は可能である。
 写真下右端はたまたま欧州旅行の旅先で撮った本場のセイヨウミヤコグサである。

   ミヤコグサ    セイヨウミヤコグサ    セイヨウミヤコグサ

最近、この日本に自生するミヤコグサがマメ科植物の分子遺伝学解析の有力な候補として世界的な脚光を浴びている。
マメ科はキク科、ラン科に次いで3番目に大きなグループを形成しており、食用、飼料として重要な植物であると共に、根にバクテリアが共生し空気中の窒素を固定して緑肥を作る等、他の植物に無い特質を持っているにもかかわらず、マメ科特有の形質を生み出す遺伝子、ゲノム情報はこれまでほとんど明らかにされてこなかった。
1990年代に日本に自生するミヤコグサがこの分子遺伝学的解析に好適な形質を持つ事が分かり、種々の研究がされ始めている。
春に咲くマメ科の植物にはミヤコグサとそっくりな小さな花を付けるヨーロッパ原産の牧草であるウマゴヤシ、野に咲くクサネム、山に咲くキバナレンリソウ等、似た花は多いが、研究者にとって、どれでも良いという訳ではなく、ミヤコグサの特殊な性質が明らかになった事で遺伝子学的研究が進み始めたものである。

    ウマゴヤシ       クサネム       キバナレンリソウ 

その鮮やかな黄色で遠くからでも目を引く花であると共に、遺伝子学的にも重要な花になってきている。

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