カノコソウとツルカノコソウ

カノコソウ

「 泣くに泣かれぬ花嫁人形は赤い鹿の子(かのこ)の千代紙衣装 」・・・花嫁人形の歌より

カノコソウとツルカノコソウは蕾の頃の白とピンクの花の状態を鹿の子模様(かのこもよう)になぞらえて命名された花である。
小鹿の背の白い斑点の模様を鹿の子模様と呼び、上記の歌にもあるように鹿の子絞りの文様は古くから着物に用いられ、原型は奈良時代ともされるが、江戸時代には贅沢な着物生地として流行した。
春も半ばを過ぎるころツルカノコソウ(蔓鹿の子草)が咲き始め、暫くするとカノコソウ(鹿の子草)が可愛い蕾を付けるようになる。
その花の形からも分かるように、いずれもオミナエシ科の花であるが、カノコソウは比較的山奥に咲き、散歩がてらというわけにはいかないが、ツルカノコソウのほうは低地の山裾にも咲く。 もっとも、埼玉県ではこのツルカノコソウも絶滅危惧種に近い存在になりつつある。
いずれも蕾の頃は可愛いいが、ツルカノコソウは花も小さく、開ききると同じオミナエシ科のオトコエシのような花となり、蕾のころの可憐さがが無くなる。( 「オミナエシとオトコエシ」 の項参照)
一方、カノコソウの方は花も大きく固まって咲くので蕾でも花でも見栄えがし、ハルオミナエシ(春女郎花)とも呼ばれる。

ツルカノコソウ

カノコソウ

カノコソウは漢方の吉根草(きっこんそう)としてノイローゼの薬となり、又西洋でもローマ時代からの薬草として有名な花である。
ツルカノコソウは花が咲いた後、茎の基部から長い送出枝を出し地上を這って繁殖するのでツルカノコソウ(蔓鹿の子草)の名があるが、薬用にはならない。
ツルカノコソウもカノコソウも蕾が開き始める頃がその名の通り白とピンク鹿の子模様の可愛い花である。

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