ヤクシソウ

10月の中旬、深谷市の最高峰とは言っても僅か330mの里山である鐘撞堂山を散策すると、アキノキリンソウに混じって同じ様に黄色い花であるが、花の形がニガナ(苦菜)にそっくりな花があちこちで目に付く。( 「アキノキリンソウは泡立草」 の項参照)
ニガナの仲間と思い込んでしまうが、ヤクシソウ(薬師草)と呼ばれるキク科オニタビラコ属の花で、葉が茎を抱くようにして付く特徴がある。

ヤクシソウ(薬師草)

山野の伐採地や崩壊地等、日の良く当たる場所を好み、花は集散状にいっぱい付けるが、咲き終わると下を向き、急にさえなくなる。 茎を切ると苦い乳液を出し、これはハナニガナやヤマニガナと同じで、花の形もオニタビラコよりハナニガナやヤマニガナに近い。

オニタビラコ        ハナニガナ          ヤマニガナ

花は似ていて、同じ様に苦い乳液を出しても、ヤクシソウはオニタビラコ属、ハナニガナはニガナ属、ヤマニガナはアキノゲシ属と分類もなかなか厄介である。( 「タビラコとオニタビラコ」、 「ニガナいろいろ」 の項参照)
名前の由来は諸説あって、蕾を抱くようにして茎に付く葉の形を仏像の光背に見立てたとする説が一般的であるが、他に、薬師堂の傍で見つかった、あるいは苦い乳液を薬と考えた等、定かではない。

アキノキリンソウと共に山裾を黄色く彩る秋の代表的な野の花であり、この花を最後に花の季節もほぼ幕を閉じる。

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