ノイバラ

ノイバラ

ノイバラ(野茨)は日本の野生バラの代表種である。
日本の野生バラにはノイバラ、テリハノイバラ、ヤマイバラ、ハマナス等、十数種ほど自生するが、5月から6月にかけて、この地方の散歩道のいたるところに見られるのがノイバラで、芳香のある白い花を咲かせ、日本の野ばらと言えばこの花である。
バラは世界で二万種ほど有るとされているが、基本は八種で、その中に日本原産のノイバラ、テリハノイバラ、ハマナスの三種が入っており、バラ改良の基本種として大きな位置を占めている。

ノイバラの花と実

ハマナスの花と実

世界のバラの多くはハイブリッドティ系とフロリバンダ系に属しており、フロリバンダ系の基本となるものがこのノイバラである。
ノイバラは東洋種であるが、房咲き性が強く、耐病性、耐寒性、耐暑性、耐乾性、耐湿性に優れている為、バラ改良の基本種となって、主にヨ−ロッパで改良され、現在のポリアンサ系、フロリバンダ系に至っている。
日本で報告されているノイバラ系の化石は100万年以上前とされているが、文献に登場する最初は 「常陸風土記」 で、 「うばら」 と記され、ついで万葉集に 「うまら」 として登場する。
万葉集に次の一首がある。 「道の辺の 荊(うまら)の末に 這ほ豆の からまる君を 別れいかむ」(現代流に解釈すれば 「あなたひっつこいわね」 というところであろうか)
バラ科の落葉低木で、日当たりの良い野原に生え、秋になると赤い実(み)を付けるが、この実は漢方の生薬名で営実(えいじつ)と言い、利尿剤や下剤となる。

ノイバラの名の由来は野のいばら(茨、荊、棘)で、刺(とげ)のある植物の意味から来ており、 一茶の句の 「茨の花 ここをまたげと 咲きにけり」 も刺を意識したものである。
「童は見たり 野中の薔薇」 の歌の中では赤い薔薇であるが、これはヨーロッパ事で、北の地方に多いハマナスの例外はあるものの、日本の野薔薇は部分的にはピンクがかる事はあっても基本的には白色である。

次へ

最初のページへ戻る