キランソウとその仲間

キランソウ

キランソウは別名ジゴクノカマノフタ(地獄の釜の蓋)と言う恐ろしい名を持つ万病に効く薬草で、乾燥した葉を煎じて、神経痛や胃の薬となり、生葉は膿だし(うみだし)に用いられる。
万病に効くところからイシャダオシ(医者倒し)、イシャゴロシ(医者殺し)とも呼ばれ、又、道端で地面に蓋(ふた)をするようにへばりついている様子と、万病の薬草となる事から、地獄に蓋をしてしまうと言う意味でジゴクノカマノフタの名が有るとされ、なかなか愉快な命名である。
一方、正式名のキランソウの名の由来は諸説あり、キは古語で紫を意味し、ランは藍(あい)を意味して花の色から来たとする説や金襴(きんらん)と書き、花が金襴の織物の切れ端の様に見えるところから来たとする説がある。
日当たりの良い野原や山肌に群生し、へばりついて咲くので優雅さには欠けるが、早春にカキドウシやムラサキサギゴケ等と並んで目立つ花である。

シソ科キランソウ属の花はユーラシア大陸に数十種、日本に十種程度あり、キランソウ以外にニシキゴロモ、ツクバキンモンソウ、ジュウニヒトエ等が野山でよく見られ、園芸種としてセイヨウジュウニヒトエが庭を彩る。
花の形はいずれも似ているが、キランソウやセイヨウジュウニヒトエは鮮やかな青紫色に対し、ニシキゴロモ、ツクバキンモンソウ、ジュウニヒトエは白色がかった色あいのものが多い。

キランソウ

ツクバキンモンソウ    ツクバキンモンソウ      ジュウニヒトエ

セイヨウジュウニヒトエ

ツクバキンモンソウ(筑波錦紋草)は日本海側に多いニシキゴロモの変種と考えられており、この地の山側ではツクバキンモンソウの方が目につく。
ニシキゴロモ(錦衣)の葉が錦(にしき)の様に美しい事からニシキゴロモの名が付けられた様に、ツクバキンモンソウ(筑波錦紋草)は葉を錦の紋に見立て、標本が採られた筑波山の名を取って名付けられた。
ジュウニヒトエ(十二単)は茎が立ち、花が折り重なって咲く様子を宮中の女官の十二単(じゅうにひとえ)に例えて命名されたものである。
ジュウニヒトエの西洋種であるセイヨウジュウニヒトエ(西洋ジュウニヒトエ)は園芸種として輸入されたものであるが野生化しつつあり、我が家の庭にも植えた覚えが無いのに咲いている。

シソ科キランソウ属の花々はその色合いと折り重なって咲く様子が独特の雰囲気をかもし出す。

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