アカソとカラムシとヤブマオ

   アカソ                  コアカソ  

 カラムシ                  ヤブマオ

晩夏から秋にかけてアカソ、カラムシ、ヤブマオ等のイラクサ科カラムシ属の植物たちが花を付け、散歩道のいたるところに目に付くようになる。
これらは古代から衣服の材料として使われ、縄文時代の遺跡から出土した糸の繊維は総て植物性のアカソやカラムシ等であり、絹や木綿等が普及する迄は麻として日本各地で栽培もされていた。
狭義の麻(あさ)はクワ科の大麻(タイマ)の事であるが、広義の麻はアカソ、カラムシ、亜麻、イチビ等を含めた植物性繊維の事で、アカソ、カラムシはタイマと共に縄文時代からつい近年に至るまで用いられ、衣服の材料となった。( 「イチビの東回りと西回り」 の項参照)
アカソは茎や葉柄が赤いので赤い麻と書いてアカソ(赤麻)となり、繊維としてばかりでなく、赤い色を利用して草木染の材料ともなった。 アカソ、コアカソ、クサコアカソの三種類があり、アカソ、クサコアカソは草本であるがコアカソは低木である。 アカソの葉の先は3裂するが、コアカソ、クサコアカソの葉は3裂しない。

カラムシはカラ(茎)を蒸して繊維を作ることからカラムシとなったとの説が一般的で有るが、苧麻(ちょま)、真麻(まお)とも呼ばれ、古代から重要な衣服の材料であった。 葉裏に綿毛がびっしりと付き白くなる特徴を持つ。
アカソやカラムシと同じ時期にヤブマオも花を咲かせる。 ヤブマオは藪真麻、又は藪苧麻と書き、藪に生える真麻(苧麻)で真麻はカラムシの事である。
アカソ、カラムシ、ヤブマオ等の麻の名の付くイラクサ科カラムシ属の植物達は衣服の材料として生活に欠かせない植物であったが、今では雑草として生い茂り、現代人には顧みられないどころか、花粉症の原因のひとつとして嫌われる植物となっている。
大麻(タイマ)も大麻取締法によって生産を制限されており、いわゆる麻(あさ)にとっては住みづらい世の中になった。

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