登山用GPSで何が出来るのか
山でのGPS利用方法はカーナビとは異なると考えます。
(もちろん、機能も豊富ですが基本的なルート案内機能に話を限定。)
カーナビ ➡ 道順(ルート)や次の曲がり角を示してくれます。
なぜ実現可能かというと
@道路地図が正確なことと、また道路幅が広い。
A比較的GPS電波を捉えやすい平地。
B自立型のジャイロを併用している。(トンネル内GPS信号無し時の対応)
Cマップマッチング等で強制的に道へ位置補正している。
等の機能があるためです。
山でのGPS➡ 分岐点の選択に、GPSを使うということは困難です。
理由は、
@GPSの位置精度が悪い。→精度は別に詳しく説明
A国土地理院のトレッキングルート(登山道)が正確でない。また道は細い。
B土砂崩れ等で道が変わっていることが多々ある。
C季節によりルートが変わる。(積雪等)
結論としてはカーナビと同じようなナビゲーション感覚は、期待しないほうが良いです。
地図の登山ルートが違っている例
(地図データはカシミール3D<http://www.kashmir3d.com/>の国土地理院 利用)
百名山でも黒い点線で示されている登山ルートが200m違っていることがあります。(2016年11月現在)
実際のルートは赤い線。
ただ「ヤマレコ」の山行記録の地図検索(『ルートを表示しない』+『国土地理院地図』)ではログが記録されているので旧道なのか、もしくはみんなの足跡が手書きログなのか不明です。
GPSで道が見つけられない例
上記ルートは地図上では赤い丸で囲んだ所が分岐と見えています。ところが実際ここは崖となっており登るような場所は見当たりませんでした。(国土地理院地図は既に修正されているようです。)
実際の分岐点はもう少し地図の上にありました。この分岐を見つけるのに大変時間がかかりました。
下記はルートが間違った場合の悪い例なので参考にしてください。
上記の図で正しいルートに乗れない場合の悲劇としては、以下のようなことが起こる場合があります。正しいルートに乗れずに川に沿って林道を登山すると下記図の左上黄色の矢印から緑矢印の地点に向かうことになります。
上記緑の矢印では間違った林道を歩いていることに気づいていますが、GPS受信誤差の可能性も否定出来ませんでした。→半信半疑という状態になります。(地形から判断すると川が流れている横を歩いているので本来ルートは急斜面の約90m上にあるはずです。)
やがて林道は赤の矢印で終点を迎えます。右側の黒い矢印では、地図上ではルートが存在するように見えています。しかし実際ここは谷で急斜面となっており、人が上がるような場所ではありませんでした。
かなり苦労して登りました。(もう迷子と言っても過言でない。)あきらかに道ではないルートであり、土地所有者(森林関係者)からお叱りを受ける可能性があります。時間が掛かりましたが、なんとか本来のルートに合流することが出来ました。
上記例ですとGPSはあまり役に立たないのではと思われるかもしれませんがそんなことはありません。
何が出来るかまとめ
@事前設定したルートの表示。
A大まかな現在位置、標高の確認
B目標位置の大まかな方向確認
C軌跡の記録
D日出時間、日没時間の確認
E歩いた距離や時間の確認。のこり時間や距離の確認
F覚えて置きたい場所をマーク(印)
@設定したルート表示
あらかじめ設定しておいたルートがピンク色で設定されています。実際の軌跡は、青色でしめしています。(色は変えられます。)通過すべきポイントは青いピンで表示されております。
⇒詳細なルート設定方法はこちらへ
A大まかな現在地と標高
歩いている途中で頻繁にGPSを見るということはあまりないかと思います。以前、前方からスマホかGPSをずっと見ながら歩いている人を見かけたことがあります。危なっかしい感じがあります。(転倒や滑落の危険)GPSではなく、道を良く見て歩く場所を決めて進む必要があるかと考えます。
上記は例ですが、地図のスケールをたまに変えていまどの辺りかを確認しています。歩行中は、表示させたい情報を選んで表示させます。私の場合は、現在時刻と到着予想時間、高度、GPS精度にしています。
高度計についてはここに詳細をまとめましたのでぜひご参考にしてください。
B目標位置の大まかな方向確認
ナビゲーションとして一番大事な機能ですが、カーナビのようには使えません。歩行中は、予定したルートを大きく外していないかを確認することが主体で、実際は地形を良く見て分岐点を見極める必要があります。
GPSは数百メートル進まないと誤りを判断できないケースがあるので間違えたと判断した場合は、戻る勇気と根性、冷静な判断力は必要です。
C軌跡の記録
軌跡(歩行ログ)とはどのようなものでしょうか。
軌跡は線ではなく、『点』の集合です。『点』は自動的に記録されますが、普通の歩行時は1〜20秒間隔、1〜20m間隔で記録されます。
持っている情報は、緯度、経度、標高、時刻です。そこから移動距離と時間差、速度、方向が算出できます。
軌跡ログはPCに取り込んで管理します。私は、「カシミール3D」という無償ソフトを利用させて頂いております。
このソフトで、事前ルート作成およびログの管理を行い、GPS上ではログとルートを残さないようにしています。
上記はログの管理例です。過去の軌跡が蓄積されていくのもGPS利用の楽しみの一つです。ヤマレコ等に投稿する際も、ログがあれば大変便利で簡単です。
D 日出時間、日没時間の確認
余裕が無いためあまり望ましいことではないですが、日没に間に合うかを確認することができます。(逆に、ご来光に間に合うも確認出来ます。)
上記の場合は、現在4時54分で、日没の5時21分に間に合うことが確認できます。(あまり感心できない確認ですのでまねされませんように)
E 歩いた距離や時間の確認。のこり時間や距離の確認
また歩いた時間や距離を確認することも簡単です。
表示させたい内容は、好みで変更させることができます。上記の例では歩行時間が1時間44分で、1.9km歩いていくことが分かります。より詳細は、GPSの利用例は次をご参考にしてください。
F覚えて置きたい場所をマーク(印)
クリックスティックを長押しすれば現在地がマークされます。帰宅後PCで位置の確認や記録に使えます。
Gおまけ
GPSを使って乗り物(飛行機)の速度や高度、位置を観測することができます。→こちらへ