東京高判平成12年7月13日(平成10年(行ケ)第308号)

1.事案の概要
 Y(被告)は,発明の名称を「形状選択転化法」とする特許第770122号発明(昭和45年10月9日特許出願(優先権主張,1969年10月10日,米国),昭和50年5月23日設定登録。以下「本件特許」といい,その発明を「本件発明」という。)の特許権者であった。
 本件の経緯は,以下のとおりである。

昭和45年10月9日 特許出願(優先権主張,1969年10月10日,米国)
昭和50年5月23日 設定登録。
昭和60年12月2日 Xが無効審判を請求(昭和60年審判第23449号)。
平成元年4月26日 Yが訂正審判を請求(平成元年審判第7313号。以下,「第1次訂正審判請求」という。)。
平成2年2月16日 Yが訂正審判を請求(平成2年審判第2000号。以下,「第2次訂正審判請求」という。)。
平成2年2月22日 Yが第1次訂正審判請求を取下。
平成8年3月14日 第2次訂正審判請求の審決(請求成立。以下,訂正後の明細書を「本件明細書」という。)。
平成8年5月30日 Xが訂正無効審判を請求(平成8年審判第8653号)。
平成10年7月31日 訂正無効審判の審決(請求不成立)。無効審判の審決(請求不成立)。
平成10年9月25日 Xが訂正無効審判及び無効審判の審決を不服として出訴(平成10年(行ケ)第307号,本訴)。

 特許庁の平成8年審判第8653号の審決は,@本件発明は,オランダ公開特許第6805355号公報(審決の甲第2号証,本訴の甲第6号証。以下「引用刊行物」という。)に記載された技術(以下「引用発明」という。)と同一であり,平成11年5月14日法律第41号による改正前の特許法29条1項3号の規定に該当するから,特許を受けることができない,A本件発明は,引用発明及び英国特許第1,134,014号公報(審決の甲第1号証,本訴の甲第10号証)に記載された発明から容易に発明できたものであるから,特許法29条2項に該当し,特許を受けることができない,B本件明細書の記載は不備であり,平成6年12月14日法律第116号による改正前の特許法36条4項の要件を満たしていない,とした請求人(X)の主張をいずれも排斥し,本件特許を無効とすることはできない,とするものである。
 なお,本件発明の特許請求の範囲は,次のとおりである。
  「直鎖炭化水素および僅かに枝分かれした炭化水素と他の異なる分子形状を有する化合物との混合物を,一般に楕円形の形状を持ち,転化条件の下で該楕円形の長軸が6Åないし9Å短軸が約5Åの有効寸法を有する孔を有し,該直鎖炭化水素および僅かに枝分かれした炭化水素がその孔構造中に入ることができ,転化されることができる結晶性ゼオライト物質であって,酸化物のモル比の形で表わして一般式
      0.9±0.2M2/nO:Al2O3:5-100SiO2:zH2O
        (式中Mは水素イオンを含む陽イオンでnは該陽イオンの原子価でありzは0ないし40の値である。)
    で示され且つ下記に示す主要な線をもつX線回折図を有する結晶性ゼオライト物質と接触させ前記混合物から直鎖炭化水素および僅かに枝分かれした炭化水素を選択的にクラッキングすることを特徴とする脱ロウ方法。
      格子面間隔d(Å)
      11.1±0.2
      10.0±0.2
      7.4±0.15
      7.1±0.15
      6.3±0.15
      6.04±0.1
      5.97±0.1
      5.56±0.1
      5.01±0.1
      4.60±0.08
      4.25±0.08
      3.85±0.07
      3.71±0.05
      3.64±0.05
      3.04±0.03
      2.99±0.02
      2.94±0.02」

2.争点
 本件発明と引用発明は同一であるか。

3.判決
 審決取消。

4.判断
「第5 当裁判所の判断
  1 取消事由1(新規性の欠如)について
    (1)甲第6号証によれば,引用刊行物には,次の記載があることが認められる。
      ・・・
    (2)「クラッキング」とは,通常の用語例に従えば,「一般には有機化合物を加熱して分解することをいうが,石油精製においては,石油の重質留分を分解してガソリン,灯油,軽油など付加価値の高い製品を増産するためのプロセスをいう。」(乙第10号証。1992年10月1日株式会社東京化学同人発行「化学大辞典」第1版第2刷627頁),「熱,接触あるいは水素添加などの各分解法によって分子結合を壊し,炭化水素の分子量を下げるのに用いられる工程」(「マグローヒル科学技術用語大辞典」昭和55年1月30日発行)などといった意味に用いられているものであることが認められる。
    (3)上記(1)及び(2)で認定されたところを併せ考えると,引用刊行物には,ゼオライトZSM-5は,「分子篩」としての性質を有し,この性質のゆえに,選択吸着のみならず,クラッキング,ハイドロクラッキング,異性化,アルキル化等のような炭化水素の触媒転化反応の際の触媒として有用であることが記載されていると認められ,したがって,そこには,ゼオライトZSM-5の種々の利用方法の一つとして,炭化水素原料を出発原料とし,ゼオライトZSM-5を触媒として,ある大きさの炭化水素を選択的にクラッキング,すなわち,分解して転化する技術(引用発明)が記載されているということができる。
    (4)本件発明と引用発明とを対比すると,出発原料が,本件発明では「直鎖炭化水素および僅かに枝分かれした炭化水素と他の異なる分子形状を有する化合物の混合物」とされているのに対して,引用発明では,単に「炭化水素」とされている点,反応について,本件発明では,「直鎖炭化水素および僅かに枝分かれした炭化水素を選択的にクラッキングすることを特徴とする脱ロウ方法」とされているのに対して,引用発明では,単にある大きさの炭化水素を選択的にクラッキングするものとされている点で相違していることが認められる。
      一方,使用される触媒についてみると,本件発明において触媒として使用される「結晶性ゼオライト物質」は,特許請求の範囲の記載の上では,・・・とされていて必ずしも明確でないものの,甲第2号証(特許審判請求公告)をみると,本件明細書の発明の詳細な説明中に,・・・との記載があることが認められ,第1表には,特許請求の範囲に示されたX線回析図と同一の格子面間隔が示されていることが認められる。そうすると,少なくともゼオライトZSM-5は,本件発明に使用される触媒であり,一方,引用発明において使用される触媒もまた,上記のとおり,ゼオライトZSM-5であるから,両発明は,使用する触媒において共通していることが明らかである。そして,このことは,当事者間にも争いのないところである。
    (5)出発原料に関する本件発明と引用発明との相違点について検討する。
      (イ)甲第8号証(1959年FIFTH WORLD PETROLEUM CONGRESS,INC,発行の1959年6月1日〜5日に開催された第5回世界石油学会第V部門議事録)の238頁の第4図によれば,典型的な炭化水素原料である石油留分は,混合物から特に分離精製しない限り,直鎖炭化水素,枝分かれ炭化水素,単環シクロパラフィン等の多数の炭化水素からなっており,ロウ分だけで構成されているものも,非ロウ分だけで構成されているものもなく,ロウ分及び非ロウ分が混在しているのが普通であることが認められる。
      (ロ)本件発明の出発原料は,上記のとおり,「直鎖炭化水素および僅かに枝分かれした炭化水素と他の異なる分子形状を有する化合物の混合物」であり,「他の異なる分子形状を有する化合物」については,「化合物」という極めて抽象的な用語を用いているため,明確ではないものの,本件明細書(甲第2号証)の発明の詳細な説明をみると,・・・という記載があることが認められ,同記載によれば,「他の異なる分子形状を有する化合物」とは,炭化水素供給原料中に一般に見出される,「直鎖パラフィンおよびわずかに枝分れしたパラフィン」(これらが特許請求の範囲にいう「直鎖炭化水素および僅かに枝分かれした炭化水素」であることは明らかである。)以外の成分のことであることが認められる。したがって,3種の混合物がいずれも炭化水素であることは明らかである。そして,本件発明の「他の異なる分子形状を有する化合物」に何らの限定もないことに,上記(イ)認定の事実を考慮すると,ロウ分も非ロウ分も混在する典型的な炭化水素原料は,本件発明にいう「直鎖炭化水素および僅かに枝分かれした炭化水素と他の異なる分子形状を有する化合物の混合物」に該当するものと認められる。
        一方,引用発明の出発原料は,単に「炭化水素」であり,そこには何らの限定もない。
        以上のとおりであるから,本件発明の出発原料と引用発明のそれとは,同一であるというべきである。
    (6)次に,反応に関する本件発明と引用発明との相違点について検討する。
      本件発明と引用発明とが,炭化水素をクラッキングするという点で共通していることは,明らかである。
      本件発明では,「直鎖炭化水素および僅かに枝分かれした炭化水素を選択的にクラッキングする」とされているので,引用発明との対比において,その技術的意義について検討する。
      本件発明及び引用発明において触媒とされているゼオライトZSM-5は,前記(5)認定のとおり,本件発明の特許請求の範囲にいう「一般に楕円形の形状を持ち,転化条件の下で該楕円形の長軸が6Åないし9Å短軸が約5Åの有効寸法を有する孔を有し,該直鎖炭化水素および僅かに枝分かれした炭化水素がその孔構造中に入ることができ,転化されることができる結晶性ゼオライト物質」であることが明らかであるから,本件発明の出発原料である典型的な炭化水素原料,すなわち,石油留分(直鎖炭化水素,枝分かれ炭化水素,単環シクロパラフィン等の多数の炭化水素からなっているもの)をゼオライトZSM-5によって転化反応を実施しようとした場合,上記ゼオライトZSM-5の性質により,「該直鎖炭化水素および僅かに枝分かれした炭化水素がその孔構造中に入ることができ」ることになり,「該直鎖炭化水素および僅かに枝分かれした炭化水素」のみに対して転化反応が行われることになる。
      次に,一般的な炭化水素を出発原料としている引用発明において,ゼオライトZSM-5によって転化反応を実施しようとした場合,「該直鎖炭化水素および僅かに枝分かれした炭化水素がその孔構造中に入ることができ」ることになる点において,本件発明の場合と同様であるから,「該直鎖炭化水素および僅かに枝分かれした炭化水素」のみに対して転化反応が行われることになる。要するに,ゼオライトZSM-5を触媒としてクラッキング(分解)を行う限り,必然的に,直鎖炭化水素及びわずかに枝分かれした炭化水素についての選択的なクラッキング(分解)による転化が行われることになってしまうのである。
      このように,本件発明の「直鎖炭化水素および僅かに枝分かれした炭化水素と他の異なる分子形状を有する化合物との混合物」(典型的な炭化水素原料)であろうが,引用発明の一般的な炭化水素であろうが,ゼオライトZSM-5を触媒としてクラッキングを行う限り,必然的に,「該直鎖炭化水素および僅かに枝分かれした炭化水素」のみに対して選択的なクラッキングが行われ,転化反応が行われることになるから,結局,本件発明の「直鎖炭化水素および僅かに枝分かれした炭化水素を選択的にクラッキングする」とされている点でも,本件発明と引用発明との間には,差異がないものといわざるを得ない。
      以上によれば,本件発明と引用発明とは,出発原料,触媒及び反応のいずれについても同一であるということができる。
    (7)本件発明は,「脱ロウ方法」の一つであるものとされているので,引用発明との対比において,「脱ロウ方法」の技術的意義について検討する。
      (イ)「脱ロウ」が,通常の用語例に従えば,ロウ分を除去するということを意味する語であることは,明らかであり,その定義として必ずしも決まったものがあるとは認められないものの,「物質や物体から蝋を除去すること。石油から個体炭化水素を分離するのに用いられる工程。」(「マグローヒル科学技術用語大辞典」昭和55年1月30日発行),「低温での流動性に富む潤滑油を得るために,石油留分から蝋分(パラフィン)を除去すること。」(「大辞林」1989年(平成元年)3月25日第8刷発行),「石油から潤滑油を製造する際,冷却によりパラフィンを分離・除去すること。」(「広辞苑第4版」1991年(平成3年)11月15日発行)といった意味で使用されていることは,当裁判所に顕著である。したがって,「脱ロウ」は,通常の用語例に従う限り,原料油中のロウ分のみを選択的に除去,すなわち,「除き去る」あるいは「取り去る」というものであり,その手段を問わないものであるということができる。
      (ロ)引用発明は,炭化水素原料を出発原料とし,ゼオライトZSM-5を触媒としてロウ分を選択的にクラッキング(分解)する技術であるから,ロウ分を「除去」していない,すなわち,除き去っても取り去ってもいないのであり,したがって,引用発明が,通常の用語例でいう「脱ロウ」を行うものではないことは明らかである。
      (ハ)しかしながら,「脱ロウ」の語に決まった定義があると認めることができないことは,上述のとおりであるから,本件発明にいう「脱ロウ方法」の意味は,本件明細書の記載に基づいて,具体的に明らかにされなければならない。
        甲第2号証(特許審判請求公告)をみると,本件明細書の発明の詳細な説明中には,・・・との記載があることが認められる。
        また,実施例についての記載をみると,実施例の例3において,・・・,例5において,・・・との記載があることが認められる。
        そして,本件明細書の全記載を検討しても,本件発明において,ロウ分を原料油中から除き去ったり,あるいは,取り去ったりすることについて記載したものは,見出すことができない。
        本件明細書の上記記載によれば,本件発明は,従来の接触転化操作において使用されていた約5Åの孔の寸法を有するゼオライト性物質よりやや大きめの孔を有するゼオライトZSM-5を使用して接触転化操作を行うものであり,ゼオライトZSM-5が,直鎖炭化水素だけでなく,「僅かに枝分かれした炭化水素」に対しても選択的にクラッキング(分解)して転化する作用に着目し,この直鎖炭化水素及び「僅かに枝分かれした炭化水素」,すなわち,ロウ分を分解して消滅させるという通常の用語例にいう「脱ロウ」と類似した作用をしていることから,これを一方で「選択的にクラッキング」といい,他方で「新規な脱ロウ法」と称しているものと認められ,ここにいう「脱ロウ」とは,原料油中からロウ分を選択的にクラッキング(分解)して転化し,分子量の低い(流動点の低い)生成物に変えることを意味するものである。そうすると,本件発明にいう「脱ロウ」も,引用発明と同様に,ロウ分を「除去」していない,すなわち,除き去っても取り去ってもいないものであるから,通常の用語例にいう「脱ロウ」ではないというべきである。
      (ニ)そうすると,本件発明の特許請求の範囲に「脱ロウ方法」との記載があるからといって,これを根拠に,本件発明と引用発明との間に相違するところがあるとすることができないことは,明らかというべきである。
        なお,仮に,「脱ロウ」の概念に,前記用語例とは異なり,原料油中のロウ分を選択的にクラッキングして転化することをも包含させるのが当業者の間での一般的用法であり,本件発明の「脱ロウ」がその意味で用いられているというのであれば,引用発明においても,特にロウ分に着目して「脱ロウ」を図るという記載は示されていないものの,事実として原料油中のロウ分を選択的にクラッキングして転化することになる技術が示されているから,そこに示されているのは,客観的には,同じ意味の「脱ロウ」ということになり,本件発明と引用発明とが「脱ロウ方法」という点で共通していることには変わるところがなく,両発明で相違するのは,つまるところ,「脱ロウ」についての認識の有無と「脱ロウ」という言葉の使用の有無のみということになる。
        要するに,本件発明は,特許請求の範囲に「脱ロウ方法」と記載されているとしても,ゼオライトZSM-5によりロウ分を選択的にクラッキング(分解)して転化し,分子量の低い(流動点の低い)生成物に変えるというプロセスについて,これがロウ分を分解して消滅させて別の生成物に変えるということを認識したうえ,この点に着目し,目的,効果の面から「脱ロウ方法」と称しているにすぎないのであり,本件発明と引用発明とは,この点に関し,その実体において,何ら変わるところはないという以外にないのである。
    (8)Yは,本件発明の特許請求の範囲の末尾において,「脱ロウ法(プロセス)」と表現したのは,本件発明が石油精製工業において独立したプロセスである脱ロウプロセスを対象とし,それ以外のプロセスを対象としていないことを明らかにするためであるとし,「選択的にクラッキング」とは接触脱ロウプロセスを意味し,石油(精製)工業分野において,クラッキング,ハイドロクラッキングと脱ロウとは全く異なるプロセスとして区分されている旨主張する。
      しかしながら,前記(7)認定のとおり,本件発明における「脱ロウ」は,原料油中からロウ分を選択的にクラッキング(分解)して転化し,分子量の低い(流動点の低い)生成物に変えるというプロセスについて,これがロウ分を分解して消滅させて別の生成物に変えるという点に着目し,目的,効果の面から「脱ロウ法」と名付けたにすぎないのであるから,本件発明が石油精製工業において独立したプロセスである脱ロウプロセスを対象とするというYの主張は,「脱ロウ」に対して特許請求の範囲や明細書の記載にない別異の意味を持たせようとするものであって,失当であることは明らかである。
      また,Yは,何人も両プロセスを取り違えることはないとか,クラッキング,ハイドロクラッキングのプロセスに用いる装置と操作条件とは,実用上,脱ロウプロセスのそれらと異なっているとか主張するが,失当であることは,上記と同様である。
    (9)Yは,本件発明は,「脱ロウ方法」,すなわち,脱ロウプロセスの発明であり,触媒からみると,用途を脱ロウプロセスに限定した一種の用途発明である旨主張する。
      講学上,「用途発明」とは,物の有するある一面の性質に着目し,その性質に基づいた特定の用途でそれまで知られていなかったものに専ら利用する発明をいうものとされ,物が周知あるいは公知であっても,用途が新規性を有する場合には,特許性の認められる場合があることを示すためにされている用語である。
      しかしながら,上記認定のとおり,本件発明は,ゼオライトZSM-5を使用してクラッキングを行うプロセスが,原料油中のロウ分を消して別の生成物に変えるという点に着目し,ロウ分を含まない目的物質を得るという目的,効果の面からこれを「脱ロウ法」と称しているにすぎず,本件発明と引用発明とは,出発原料,反応,触媒を同じく,その結果,得られる目的物質も同じくしているのであるから,そこには何らの新規な用途の追加ともみることができないものであって,特許性の認定と結び付けられる上記の意味での用途発明となり得ないことは明らかである。
      Yの主張は,採用できない。
    (10)以上のとおり,本件発明と引用発明とは,出発原料,反応及び触媒のいずれにおいても同一であり,他にも実体において相違するところは認められないから,同一の発明というべきである。したがって,本件特許は,特許法29条1項3号に該当し,特許を受けることができないものである。
  2 そうすると,審決の取消しを求めるXの請求は,その余の点につき判断するまでもなく,理由があることが明らかである。そこで,これを認容することとし,訴訟費用の負担,上告及び上告受理の申立てのための付加期間について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条96条2項を適用して,主文のとおり判決する。」