(原審:東京高判昭和44年10月21日(昭和42年(行ケ)第138号))
<事案の概要>
X(原告,上告人)は,昭和33年3月31日出願,昭和38年2月11日登録の実用新案第581570号「二段ベツド」の登録実用新案権者である。
出訴までの経緯は,以下のとおりである。
昭和38年7月11日 | Y1(被告飛騨産業株式会社)が本件登録実用新案について登録無効の審判を請求(昭和38年審判第2873号)。 |
昭和38年7月11日 | Y2(被告久保木工株式会社)が本件登録実用新案について登録無効の審判を請求(昭和38年審判第3040号)。 |
昭和40年7月16日 | Y4(被告フランスベツド株式会社)が本件登録実用新案について登録無効の審判を請求(昭和40年審判第4408号)。 |
昭和41年6月20日 | Y3(被告内田車輛株式会社)が本件登録実用新案について登録無効の審判を請求(昭和41年審判第4569号)。 |
昭和42年9月11日 | 昭和38年審判第2873号,昭和38年審判第3040号,昭和41年審判第4569号について,「登録第581570号実用新案の登録を無効とする。」旨の審決。 |
昭和42年10月13日 | 昭和40年審判第4408号について,「登録第581570号実用新案の登録を無効とする。」旨の審決。 |
X出訴。
原審(東京高判昭和44年10月21日(昭和42年(行ケ)第138号))は,Xの請求を棄却した。
X上告。
なお,Xは,本件登録実用新案について,昭和42年7月6日に訂正審判を請求しているが(昭和42年審判第5103号),原審の口頭弁論終結時では審決がなされていない。
<判決>
上告棄却。
「上告代理人弓気田健,同萼経夫の上告理由について。
登録実用新案の登録無効審判事件の係属中にその登録実用新案について訂正の審判が請求された場合において,その審決の先後関係をいかにすべきかは,審判を行なう特許庁の裁量に委ねられた事柄であつて,つねに,まず訂正審判事件につき審決をした後でなければ登録無効の審決をしてはならないと解すべき法律上の根拠はない。そして,訂正審判制度の本来の趣旨からすれば,訂正審判事件の審決に先だち登録無効の審決をしたからといつて,所論のように権利者の訂正審判請求権を故なく喪失せしめたものということはできないし,また,右無効審決の取消訴訟において訂正請求の理由の有無を審理する必要のないことはもちろんである。したがつて,原判決に所論の違法はなく,論旨はすべて採用することができない。
よつて,行政事件訴訟法7条,民訴法401条,95条,89条に従い,裁判官全員の一致で,主文のとおり判決する。」