ふくろう博士のカナダ便り

ふくろう博士のカナダ便り−1
フクロウとちょっととろい僕のお話


 さて、私の住んでいる町は、カナダの西岸にあるバンクーバから東に車で五時間くらいのところの田舎町。
ケローナといいます。
湖のふちにある景色のよいところで、気候がよく、冬・夏ともに過ごしやすいし、果物も豊富。
ゴルフやスキーも楽しめるので、カナダではリタイヤの人のメッカ。
やたらおじいちゃんとおばあちゃんと車椅子が目立つ町です。人口12万人くらいの町。
それでも、日本の二倍の面積をもつブリティッシュ・コロンビア州では、バンクーバーとビクトリアについで第三の大きな町。
広大な自然の広がりが感じられるでしょう?


さて毎日、本を書き、
コンクールを目指して口笛の練習をしたあと、
夕食後に散歩に出ていますが、
最近まで、
近くの水辺にある枯れ木のてっぺんに「魚をとる小型の鷲」
の子育て奮闘振りを見に行っていまし
(写真の電信柱のようなものの上の巣)。

4月頃から巣を作って夏の日照りをカンカン浴びながらも、
親は巣の上で子供を守り、魚をとってきては与えていましたが、
ようやく二羽の子供もそだち、南のカリフォルニアの方に飛び立ちました。
親ともなれば、人間に劣らず、大変な努力をして子育をしているのだと感激。
口笛で呼ぶと聞き耳を立てて返事をしてくれていました。
そして近くの建物の上にも鳥が一羽とまっているのにも
気がつきました。
しかも僕の大好きなフクロウです。
下から散々声をかけ口笛でご挨拶するんだけど、
こちらの方は全然知らん顔。
「気持ちは分かるけど、失礼な」と思っていました。
毎日同じところにとまっているので、
きっとこんなところにもネズミがいて、
それを狙って、こちらも子育てに大変なんだろう」
と深い理解を示していたところが、
遠くのほかのアパートの上にもとまってる。
ハテナと思って双眼鏡をもっていってよーく見たら、何とFAKEだった!
屋根の上にちょいと置いた置物というわけ。

さんざん声をかけ、無視され、理解を示し、そして憤慨してたのにさ!
今見ると、今度は上からまるで、フクロウの奴めが
「ア、ホウ」といっているみたい!。
そこで写真にそれを収めたわけですが、
撮り終わってひょいと横を見ると、
写真にあるような看板が立ててある。
カナダも不況だから、
「全国不況困窮者救済の日だから
タダで美味しいもの上げますよ」
といっているのかと思い、
早速口笛ふきながら横の入り口に行きました。
何しろ「タダです。皆様どうぞ」
というのにはどこにでも入ってしまう僕だもん。
入り口に二人のおばあちゃんが案内役を務めていました。
ところが、陽気な僕を見るや
「ここはあんたの来る所じゃないわよ」
「エ?どうして?」
「ここはユウツで元気が出ない人のために開かれてるの」
というわけで、追い出されてしまいました。
上のフクロウの奴めがまた「ア、ホウ!」
とあざ笑っているようにひしひしと感じたのでありました。




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