
ふくろう博士のカナダ便り
ふくろう博士のカナダ便り -10-
ともかく何でも大雑把!
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リンゴを買いに行った家内が、横にいたおばさんが具合の悪いリンゴを平気で籠に入れていたのを見て、 「こちらの方に良いのがありますよ」 と言ったら、
「いいのよ、どうせうちの餓鬼どもにやるんだから!」。
お医者サンもどうもいいかげん。
日本人の友人の三才の子がひどい咳が続くので、病院に連れていったら、
肺炎と診断したあと 入院もさせずに、抗生物質を注射して
「あとほっときゃ、なおるよ」 といって追い返されてカンカン。
 友人に赤ちゃんが生まれたのでお見舞いに行ったら、となりのベービーのお父さん。
産まれて二日のベービーをひょいと抱えて、病室の脇の洗面用たらいのところに持っていき、ベービーのお尻を出して、ジャジャジャーと洗い流しておしまい。
びっくりして念のために蛇口の水を触ったら、
冷たい!しかも他の人が顔洗うところでですぞ!
レストランでも要するに何でも 「ガサット、ドバット」 出てくる感じ。
家電製品も壊れやすい。
水射式洗歯機も二回買って二回とも すぐ壊れた。
高速充電機も専用のバッテリーが直ぐに熱で破れた。
別のに取替えさせても同じだった。
こちらは自分で車でもなんでも修繕する社会だから、
適当に自分でなおすのが前提らしい。
だから、とうとう小生も、車の前のバンパーを少し凹ました時、
チュウインガムをクシャクシャ噛んで、そこに埋め込んで、上からコーキングした。
そしたら、何ヶ月経った今でも全然大丈夫。
後ろのバンパーを家内が大きく凹ました時は、バンパーがプラスチックだったので、
ヘヤドライヤーで柔らかくして形をなおし、
パテを買ってきてスーイとカバーしたらきれいになっちゃった。
いつのまにか立派なカナダ人になってしもうた。
 
大雑把さは、外向型とくに外向感覚型のタイプの特徴のようです。
木目細かさ、精密さはスイス人や日本人や北ベトナム人のような
内向感覚型の気質要素をもつ国民の特質のようです。
外向感覚型の国民は、一部の中国人、韓国人、南米人、地中海沿岸の諸民族、
中東に多い。ハンガリー人もスラブ人も同じ要素を持っている。
韓国でもエジプトでも階段の各段の高さが違っていても平気。
扉がしっかりきちんと合わなくてもOK。
良く言えば、 「何とか機能していれば、それでいいんじゃない?」
という現実主義。
そういう気質が悪いというのではない。価値判断をしてはならない。
気質はそれぞれ文化的役割があるからだ。
しかし、そうした国に行った日本人は家内も含めてさんざん
「ここはすべてが粗雑でだめだ、日本のがいい、いい」
と朝から晩まで言っている。
ハンガリーで会った女性教授も、「さんざんハンガリー人のずさんさを罵倒していたら、そのうちいつのまにか自分もそうなっちゃいました」。
われわれも近いうちそうなるかもね。
日本は安い労働力を求めてか、あるいは現地生産をするために、
外向型の国民に造らせるようになったが、
最近北米では 日本の製品の評価は急速に低下
しているのを 日本の企業はご存知なのか。
「ブランド名で高いだけで、品質は大したものではなくなった。
もう日本のものは買わない」
という意味の意見をしばしば耳にするようになった。
小生も日本のブランド名だが、”Made in “日本以外のある国名”
で出ている粗悪品に近いものを買わされたことが二三度ある。
はじめからMade in Japanでないと知っていたら買わなかっただろう。
精密機器の場合、外国人もそうだと思う。
”Made in Japan” だから買うのだ。
テヘランで会ったある有名家電メーカーの日本人ビジネスマンが言っていた。
「アラビアで生産してMade in Saudi Arabiaと記して発売しようとしたら、
現地人社員から 「そんなことしたら、中東では絶対売れない。
せめて、Made by “その社名”で販売してくれ」と言われた」と。
イギリスの友人からも言ってきた。
「何でも大雑把はここイギリスでも同じ。
他国で造らせたものは、本当に評判が悪いのはヨーロッパでも同じ事。
Made in Japan じゃなきゃだめといわれています。」
つまり ”Made in “最近よく出てくるある国の名“ で出す事は
「お買いにならないで下さい」と商札をつけて売るようなもの。
そうそう、スイスが150年来、ヨーロッパの経済で人口の割にして高い座を守ってきたのは、自分たちの完全主義で精密機械において高度な品質を確保したからなのだ。
精密性の高いものは、少々高くても日本人に造らせるべきだ。
新製品の開発を行い、高度な品質を維持し続けることこそ
日本経済がスイスのように今後長期的繁栄を続ける道ではないのか。
そして、新製品の開発は「プロジェクトX」の精神がある日本は強い。
これこそ内向感覚・フィーリング型にしかない特徴なのだから。
だんだんメートルが上がっちゃいました。
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