照明設計(景観建築照明・店舗照明・住宅照明)
中島龍興照明デザイン研究所
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LED防犯灯導入

LED防犯灯LED防犯灯近年LEDが高効率化し、20W未満でFL20W同等の明るさが得られるようになり、長寿命のメリットからも防犯灯のLED化が進んでいます。

一般的な防犯灯では、直管型蛍光ランプ(FL20W)が使用され、寿命8,500時間のため、2年程度でランプ交換が必要でした。また街路灯の電気代は消費電力の範囲で決まり、FL20Wの場合安定器の損失分を入れると消費電力は22W程度で、20-40Wの電気料気が適用されていました。

ただ、LEDの光は蛍光灯に比べると指向性があり、発光感も高いため、眩しさを感じやすくなります。LED防犯灯の導入のためには、現地調査やLEDの特性を踏まえた器具の選定によって、適切な光環境を検討する必要があります。

「防犯灯のあり方検討会」(横浜市)

横浜市で2010年に設置された「防犯灯のあり方検討会」に、福多佳子が委員として参加しました。防犯灯の管理は自治体によっても異なりますが、横浜市では防犯灯の設置は行政が行い、電気代やランプ交換代の一部を補助しており、基本的な管理は自治会・町内会に任されています。

「防犯灯のあり方検討会」では、議論だけでなく、現地調査も行い、LEDの特性を踏まえた「LED防犯灯導入の仕様書」を作成しました。LED防犯灯を単に設置するだけでなく、設置前後の測定調査を行い、設置前よりも改善されていることを確認しています。

住民が重視する防犯照明の機能と水平面平均照度・鉛直面最小照度
①~⑨の場所で測定調査と住民評価(良-悪)を行った。住民が防犯照明に重要視する「安心感」と「見通し」は相関が高く、水平面平均照度および鉛直面最小照度の測定結果と呼応した。LED器具の輝度が高い場所では、照度が高くても「安心感」と「見通しの確保」の評価は下がった。

歩きやすさ・運転のしやすさと均斉度
※均斉度(最小照度/平均照度)。
均斉度の高さは、極端な暗がりがないことを示し、一般には「歩きやすさ」「運転のしやすさ」につながる。今回の調査では、LED器具の輝度が高い場所では、眩しさを感じるため、均斉度が高くても評価が下がった。

器具の輝き・路面の明るさと輝度値
「器具の輝き」と「路面の明るさ」の住民評価は相関が高いが、LED器具の測定輝度値が高い場所では、住民評価が下がり、眩しさがマイナスに働くことが推察される。路面の明るさ感が高く、照明器具自体の輝度値が低い場所では、住民評価が高い結果となった。

防犯照明に対する意見
住民の意見では、安心感を得るために防犯灯を明るく、または増設を望んでいる。一方、省エネ・光害の観点では、過剰な明るさや漏れ光の抑制も求めている。LED防犯灯導入で、「明るさ」「省エネ」を両立できるが、均斉度やまぶしさ(グレア)、照明効果の持続性なども考慮する必要がある。

All About「LEDで変わる!街の安全を守る防犯灯」でもLED防犯灯についてご紹介しています。