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last update 05/06/06

 

 

5.
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  使用部品、調整    2002.10.14 追加

5.1





真空管:

PT15 MOV製
1940
年代のものはトッププレートの内部引き出し線が銅線状のものです。1960代以降のあたらしいものは板状のニッケル板?をUの字に曲げた形状になっています.また内部保持板の形状がスマートになっている他はほとんど変わっていません。なおこの球は下側に引き出されているステム部の各ワイヤーの内、外部ソケットピンに結線がない一番外側の1箇所が割れやすく(保持用のワイヤーのところ)大きなショックを与えないようにしてください。

  6AQ5 日立製
6V6のミニチュア管です。仕様は同じで最大定格が異なります。GT管がよい場合は上位互換がありますので6V6でも使用できます。ソケットが異なりますが定数は同じです。

今回は小型の出力管を3極管接続にしてドライバに使いましたが双3極管の12BH7Aや同クラスのものでも可能です。無論カソードフォロアの再設計が必要になりますがドライバが1本で済みます。。

6AQ5は負荷10KΩ、Ip=15mAほど流しています。PT15をプラス15V程まで楽にドライブできました。ドライブインピーダンスが正負で異なりますが半導体と異なり、真空管の場合ドライブされる側のグリッドはプラス側へオーバードライブする時以外、電流が流れませんのでインピーダンスの違いは問題となりません。ただ定電流源を使うと吸い込みに関しても性能がよくなります。J−FETの場合は簡単にできるのですが耐圧が50V程度までしかありませんので厳しいでしょう。MOSFETを使わざるをえません。大きなマイナス電源が用意できない時は考えてもよいでしょう。

代替ですが、(若干定数を変更しなければなりません)7PINの同クラスの球では、5球スーパーの出力管として標準的な6AR5があります。これでも可能でしょう。

なお6AR5のGT管が6K6でオリジナルのST管が41です。
同様にGT管6F6のST管が42であり、オリジナルは2.5V管の2A5です。
6F6−42のミニチュア管版はなぜかありません。多分6BQ5があったからでしょう。ヒーター電力がほぼ同じで、より高能率です。

6AR5/6K6/41ppなど大変省エネでちょっとそそります。\^^\
6AQ5/6V6と比較されると”ラジオの音質”などと評価が低いのは、全盛期にまともなOPTで使われなかった為でしょう。トランスへお金をかけていれば評価も違ったことと思います。

  ダイオ−ド:

ERB43−06  富士電機製 ファーストリカバリダイオ−ド 600V 0.5A

ERB43−06はできれば800V耐圧のERB43−08、ERB44−08をお使いください。各社の同等品で可能です。
  トランス:

タンゴ旧製品のストックがあってFX50−3.5Sを使っていますが、ISOのFC30C−3.5S等1次側3.5Kオームのものが相当です。パワートランスのMAX280は現行品です。
5.2


























































 


調整

主な調整箇所は次の3点です。
1.直結されているカソードフォロア段から出力管のバイアス調整
2.出力管のハムバランス
3.NFBによるダンピングファクターの調整

調整の前にNFB用のフィードバック抵抗をはずして起きます。(120Ω)

まずカソードフォロア段からの、出力管のバイアス調整ですがPT15を抜いておき6AQ5に所定の電圧が出ているか確かめます。PT15は▲22Vから▲16V位のバイアス値で使いますので6AQ5のカソード電圧がグリッド側のバイアス調整VRで上記範囲内で可変できるか、チェックしておきます。

電源を切った後PT15をさしてPT15のカソード側4.7Ωとグランド側へテスターをつなぎ電流モニターとします。電源をいれ落ち着いたところでPT15の電流を調整します。プレートに350Vかかっていますと、≒85mA(4.7Ω両端で約0.4V)で最大定格(30W)となりますので80mA前後になるように先ほどの6AQ5バイアス用VRで設定します。

次にハムバランスですが出力トランスの8Ωへダミー抵抗をつなぎACレンジにしたテスターかオシロスコープをつなぎ、PT15のカソードハムバランス抵抗(50Ω)を調整します。私の場合ボリュムは使わずどちらか一方の50Ωに並列に数KΩ〜数百Ωの抵抗を下がる方向で並列につないでいき調整しています。なれない方は各々カソードに入っている50Ωを100Ωの巻き線型大型のVR(ハムバランサー)に換え、調整してください。VRには2〜3Wの容量が必要です。それでも25mV程度100Hzのハムが残りました。

ここまできたら入力に1KHz程度の正弦波を加えて最大出力の確認を行います。ダミー抵抗の両端にオシロをつなぎ最大出力時に上下波高のどちらが先にクリップするかチェックします。同時にクリップするように先ほどのPT15バイアス値を若干変えてみます。この際、最大定格を超えないようにPT15の電流値を観察しながら行います。またこの場合の入力値もチェックします。

この調整が終わった後でNFB用抵抗(120Ω)をつなぎ最大出力時の入力の値を、NFBをかけない時の値を比較しNFB量を推測します。(簡易的ですが)

同時に無信号時の出力の残留ノイズを測定しますとNFB量に応じて下がっていることを確めます。先ほどのハムバランスですがNFBをかけないと25mV程度100Hzのハムが残っていましたが、おおよそ1/3以下になっていました。今回はPT15のヒーターを交流点火にして見ましたが、何とか使えるレベルでしょう。静かな部屋で93dBのスピーカに耳を近づけると確認できる程度です。これ以下にするには直流点火にしないといけません。ですが交流点火にしたほうがフィラメントに均一に負荷がかかりますのでフィラメントに無理がかかりません。直流点火にすると0−6.3Vの差があり、両端でのバイアス値が異なり、流れている電流値が平均化されないわけです。

ですからオーディオ用の2A3が2.5Vなのは意味があるわけです。300Bは劇場用拡声器向けの球ですので扱いやすいように5Vなのです。当時の100dBをこえるような高感度なスピーカでも2A3なら交流点火+ハムバランサーで十分だったわけです。

以上でおおまかな調整が出来ました。