孤島の10枚    平賀 義一

 さんげつ会が第200回目の集いとなると言う。この種のサークルとしては破格の長さで、世話人や会員各位の努力と熱意に心から敬意を持つものである。この節目に、一LPフアンとして、21世紀を直近に見る絶海の孤島に10枚(点)だけLPを持参する事が許されるならば、何を持って行くか考えてみた。いわゆる「孤島の10枚」である。
 私は近代300年の音楽史において、大バッハ、モーツァルト、ベートーベンの3人が真に普遍的な楽聖と考えているので、この辺のLPに集中してしまう。

@J・S・バッハ;「マタイ受難曲合唱曲集」
  モーゲンス・ヴェルディケ指揮デンマーク国立放送管弦楽団&合唱団
(米 HAYDN SOCIETY HSL2070)
AJ・S・バッハ;「コーラル前奏曲集」
  アルバート・シュヴァイツァー(オルガン)
 (米 COLUMBIA ML4601 =SP原盤)
BJ・S・バッハ;「パッサカリア ハ短調 BWV582」
  ヘルムート・ヴァルヒャ(オルガン)
 (日 ARCHIV LAM69)
Cモーツァルト;「歌劇ドン・ジョバンニ全曲」
 フリッツ・ブッシュ指揮グラインドボーン歌劇場管弦楽団及び合唱団
 (米 RCA LCT6102 =SP原盤)
D モーツァルト;
  「ピアノ協奏曲第20番ニ短調K466、第24番ハ短調K491」
  アルトゥール・シュナーベル(ピアノ)
  ワルター・ジュスキント指揮フィルハーモニア管弦楽団
 (米 RCA LHMV1012)
Eモーツァルト;「ディベルティメント変ホ長調K563」
  パスキエ弦楽三重奏団
 (米 VOX DL6030)(LP録音でなくSP原盤のもの)
Fベートーヴェン;「交響曲第3番変ホ長調作品55"英雄"」
  アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団
(1938年10月28日ライブ)
 (米 ARTURO TOSCANINI SOCIETY ATS1114 =SP原盤)
Gベートーヴェン;「交響曲第9番ニ短調作品125"合唱"」
  アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団
 (仏 PATHE FALP236/237 又は米RCA LM6009)
Hベートーヴェン;「弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調作品131」
  カペー弦楽四重奏団
 (日 COLUMBIA XIX15/16 =SP原盤)
Iベートーヴェン;「ピアノ奏鳴曲第32番ハ短調作品111」
 アルトゥール・シュナーベル(ピアノ)
 (米 RCA LCT1109 =SP原盤)
以上10点、三楽聖の名作の今世紀を代表する名演として私は評価している。さんげつ会の皆様の「孤島の10枚」はどのようなリストになるのでろうか。いつか教えてもらいたいものである。

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