最近の音楽生活    豊田 祥一

 私がさんげつ会にお世話になって数年になります。そして同好の良き友人、知人に恵まれ、良き知識を与えられて至福の日々を過ごして有難く思っています。
 音楽趣味として、好みは人それぞれ食べ物の嗜好があるように色々あって不思議ではないと思っています。が、私にとっては、独断ですが音楽とは即ちベートーヴェンの異称である。神の音楽である。まあ、富士の山であると昔から思い、昔から変わりません。
 スピーカーから流れる第5、第7交響曲等、(ただしフルトヴェングラーの演奏に限る)心の法悦境とはこれである。美しさ、素晴らしさは言葉で表現できない天国の音楽である。故に、ベートーヴェンで音楽は終わった。以後の音楽は全て附属であると偏見を抱いています。(寛恕)
 と、さんげつ会入会以前であれば、これで終わりでした。ところが、入会後、ヘボ碁打ちが有段者よりアドバイスを受けた様に、先達の諸氏より有難いことに未知の曲を色々聴かされ、困惑状態に陥りました。結果、ベートーブェンは別格として、あの曲、この曲もいいなあ、ともっと多く聴きたいなあ・・・と探究心というべきか、欲ボケというべきか。
◎欲しい欲しい病に取りつかれました。当然CD屋巡りが始まりました。
(今日、この店何か新しいもの入荷してないかなあ・・・・と。これでは魚屋の店頭に立つ主婦と同じではないか・・・・バカバカしい)
◎次にCDのエンゲル係数が物凄く高くなりました。
 (晩酌は二級になり、おかずの質が落ちました。・・・撫然)
◎次にほどんど未知の無名の作品ばかりセッセセッセと集めました。
 (本棚に多く並べて背をジロリと見るだけ、内容不明。まるで仏壇の前の戒名を眺めている様です)
◎毎晩少しずつは聴いています。しかし心の琴線に触れるような曲には先ず当たりません。
 (聴後、思いは空振三振、無駄使い)
◎良い曲に当たった時は何物にも換えられないこの嬉しさ・・・
 (しかし高価な1枚だったなあ・・・宝クジより確率悪いわい)
◎・就寝前、音楽とは我が心の憩いなり。明日も元気で働くぞ・・・と。
 (まてまて、働くより先ずどこの店に行こうかな?)
◎・私の最近の音楽生活は以上の如くヒドイ目にあっています。
 (臍繰りがなくなりました)
以上、駄文失礼

 最後になりましたが、200回記念おめでとうございます。

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