リザ・デッラ・カーザの歌曲レコード
樽井 英明
モーツァルトとR・シュトラウスのオペラが得意であったこのスイス生まれのソプラノは、ウィーン、ザルツブルク、ニューヨークの劇場で長い間活躍し、美しい声と気品のあるルックスで大いに観客を楽しませた。その輝かしい声は、滑らかなレガートと流れるようなフレージングで、劇中人物の性格表現に成功した。
1974年、舞台を引退したが、その名声は長く忘れられることはないであろう。幸いレコードもたくさん残っている。
案外知られていないのが、ドイツ・リートの歌手としての活躍で、レコードも少なく殆ど廃盤になったままであったが、嬉しいことに最近いくつかCDで再発された。
二、三ご紹介したい。
彼女はドイツ・リート、なかでもR・シュトラウスが好みであり、また優れていたと思われる。R・シュトラウスの歌曲の多くが、妻のパウリーネ(ソプラノのオペラ歌手)を頭の中に置いて作曲されたもので、そのソプラノ・ヴォイスの輝かしさを際立たせるように工夫されてある。
他の歌手を悩ませる高音のパッセージも楽々とこなせたデッラ・カーザによく適合していたと言えそうである。
○R・シュトラウス歌曲集(伴奏:フデーツ)1956年録音
同 「最後の4つの歌」(ベーム指揮ウィーン・フィル)1953年録音
[London
448150−2 ]
○シューベルト、ブラームス、R・シュトラウス、ラベル他
(伴奏:シャンドール)1957年ザルツブルグ公演ライブ録音
[EMI
566571−2]
○R・シュトラウス歌曲集(伴奏:シャンドール)1963年録音
[RCA
74321 40506−2 ]
○ブラームス、ヴォルフ、マーラー、R・シュトラウス他
(伴奏:小林道夫)1970年日本公演ライブ
[Relief
CR1845 ]
なお、残念ながらシューマン「女の愛と生涯」とR・シュトラウス歌曲を収めた一枚(EMI)は未CD化のようです。
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