出発したあなたへ



今ごろはもう

シベリア上空を飛ぶ機内で

あなたはワインなど飲んでいる

と思うと楽しい


思ったことを

好きなように

着々と実現させて

明るく生きる


それは、なかなか

難しいことなんだろうが

いつも、なんでもなく

やり遂げてるね


こんどは北欧か

いいね

「北へ帰る旅人ひとり

と唄にあるように、旅は北へ向いたい


北には憂愁のロマンがある

南の島にロマンスはあっても

ロマンはないと

勝手に決めて


北にあこがれる

イギリスだって

スコットランドが素敵だった

ロッホ・ローモンドは忘れがたい


湖畔の古城で

婚礼があって

花婿はタータン柄のキルト

あれが正装なんだ


そういえば、カナダの

ハリファックスの要塞で

バグパイプを演奏していた

兵隊さんも民族衣装のキルト


あの要塞には1906年まで

イギリス守備隊がいたんだって

でも、ロッホ・ローモンドもハリファックスも

北緯50度あたり


北へ向うと言ったって

ぼくはその辺までしか行っていない。

いや、そうじゃない

いま、思い出した。アラスカクルーズ。


スキャグウエイは北緯60

ユーコン鉄道に乗り、カヤックを漕いだ

寒かったけれど、あれは楽しかった

やはり北は良い


ヘルシンキ、ストックホルム、オスロも

北緯60度あたり

ノルウエーのフィヨルド地域は

もう65度にもなるんだ


モンテネグロのコトルへも

フィヨルドを遡ったけれど

北緯42度という温暖地域のそれは

穏やか過ぎ、峡谷が低すぎて絵にならなかった


きっとノルウエーのフィヨルドは

人工物など及びもつかない

圧倒的な姿で迫ってくるでしょう

北の自然の極相を堪能してください


北へ向うほど

人間の身長が高くなる

という法則があるとか、ないとか

でも、ホントに北欧の人は大きいね


その人たちに混じって町を

あなたが歩いている様子を

想像すると、微笑が

おのずと浮かぶ


北欧の人たちが南へ

勢力を広げようと船で向かい

南の人はそれを

バイキング(海賊)と怖れた


北欧式ビュッフェは

スモーガスボードが本来の名だが

日本ではそれを

呼びやすくバイキングにした


旅の栞に、北欧式ビュッフェとして

スモーガスボード、コルトボール

の二つの名がある

どう違うのか、体験して教えてください


有楽町にもチボリという

レストランがある

それがデンマーク・チボリ公園の

レストラン系列なのかどうか


旅の栞で見る限り

期待できる夕食は

チボリだけのようだから

大いに味わって、感想を


自分は行けなくても

あなたの旅をなぞるだけで

楽しめる

北への旅


もう今ごろは

ノヴォシビルスクかオムスクか

シベリア中部を過ぎて

ウラル山脈に近づいているか


名前だけでも

ゆかしく響く

フィンランド航空の機内を

思う


どうか良い旅を

友との絆を強め、生きる力を深め

これからの人生を豊かにする

素敵な旅を




2013.8.25

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