あと5000回のお願い
「おかえり
お昼は、少しのぜんざいとお餅を出してあるが……、
たこ焼きも食べて欲しい 」
ジムから帰ってくると
いつものように
テーブルの上にメモがあった
出かける前に
ぼくの昼食を準備して、
出来ないときは
何をどう食べるか、知らせてくれる
有り難い ありがたい 有り難いです
今日なんか、
「何か探して食べるから……」
と言っておいたのに
献立を考えるのは大変だ
毎日のことだものね。その上
リタイア後のぼくが
毎日在宅するようになって
その昼飯の心配まですることになった
献立を考える必要が
少なくとも1.5倍位にはなったろう
大変な負担だねえ
労働強化なのに、この仕事に
給料はない
申し訳ないことです
ただ甘えるばかりで
見返りなし
何となく、何時とはなしに
当たり前のように思ってしまって
感謝の言葉もなく
済まないなあ
と考える。
いったい、これまでに
どれだけの献立を考え、
調理をしてもらったのだろうか
結婚以来46年
16000回の晩飯を食べたはず
現役時代が12000回
リタイア後が4000回
リタイア後には昼食が加わって
その分が4000回
全部合わせると
何となんと20000回になる
気が遠くなるねえ
毎日、毎日のことだものね
子育ての時期も
公文教室最盛期の頃も
発表会等で多忙なときも
体調不良のこともあったろうに
いつも変わらず
美味しい食事をありがとうございました
懐かしいインゲンの豚肉巻き
特性のクリームコロッケ
じっくり煮込んだポトフ
アーモンド型の容器のグラタン
野菜いろいろのラタトウーユ
米粒が立っているような
さらりと仕上がった焼き飯
からりと揚げる天麩羅
うす味の茶碗蒸し
正月料理の竜皮巻
荒簾で巻いた玉子焼き
夏の味覚の
ハモの落としも
自家製が一番
カレーライスだって
高級ホテルやレストランより
我が家が一番
美味しい料理が
日々食べられる幸せは
何物にも代え難い
本当の幸せ、ありがたさ
さてさて、この先も
献立作り、買い物、調理など
日々の苦労をお願いする
ことになりますが
それは一体いつまで
と聞きたいことでしょうね
少し考えました
あと何回の晩飯を食べることになろうかと
今の日本人男性74歳の
平均余命は12歳だとか
すると86歳、籐三郎さん並みですね
うまく行けば花穂はお嫁に行き
曾孫も見られるだろうし
まだ名無しのべビーも
6年生になるのだから
それで充分といえば、十分です
でも、少しおまけが付いて
90歳まで生きることにしましょう
あなたは
今の千恵さん並みになるということです
そのときも、まだ献立作りに
励んでいてくださいね
ということなら、
あと5000回の晩飯です
過ぎ去った日々に比べれば
短いものです。
昼飯は抜きにして
考えましょう。昼は簡単に
「各自調達」の精神で
あと5000回の晩飯です
大事にしましょう。
どうかよろしく
お願いします