鮮やかに


箴言というのは、人の諌めになる短い言葉

たくさんある中に

「晩節を汚すな」というのがあります。


成功、人望、栄達、名誉など

申し分ない人生の最後で躓いてしまう

世の中にはいっぱいある話です。


第一人者の地位に留まれば誰もが

何時の間にか「裸の王様」に

なってしまうのでしょうね。


「老害」と囁かれている陰口を聞かず

自分の目が曇ってきているのに気づかない。

周りも言ってくれない。


その挙句に、重大な事態を引起す

あるいは巻き込まれる。

そうなる前に「出処進退は自分で決める」


でも、それが難しい。

自ら決断し、引き止める人数多のうちに

惜しまれつつ去る


引き際こそ、その人物の真価を

示すのかもしれません。


そこで


三十五年といえば、

並みのサラリーマンの

勤め人人生に匹敵する時間です。


その時の流れのなかで、主婦業と

三人の子供の母親業を果たしながら

個人事業主として成功したあなた


公文式西柴教室を創設し、

発展させ、評価を確立し、少子化の現在でも

揺ぎ無い運営を実現したあなた


教室指導者として、子供と一緒に

母親も「教育」し、ファンを育て

口コミで生徒が増え


親子二代の生徒が

珍しくない。地元に根を

降ろした教室に仕上げた。


公文式の良さを理解しそれを広めようと、

事務局員や教室指導者に

教室運営のノウハウを伝えたあなた


その背景に、日々の実践を通した

人間として、社会人としての

あなたの成長がある。


もっともっと大きな教室に舞台を移すことも

出来たのに、家族第一で、みずから

「鉢の大きさ」を決めていたあなた


そのあなたが、教室を閉じた。

相変わらず盛況をきわめ、閉室前月にも

入室生徒がいた教室を。


惜しむ声は、事務局はもちろん

生徒や親たちにも漲ったのに

「限られた人生を家族に寄り添って」


これから歩んで行きたいと。

やはり家族第一主義で、鮮やかに

引退を宣言したあなた


その最後の舞台、

西柴教室最終学習日

2009529日金曜日


花束で溢れかえった

あの光景は忘れがたい

栄光の舞台のカーテンコール


後継指導者を自ら選び

最短距離に後継教室を設定し

継続生徒を引き継ぎ


教室資材の多くを

無料譲渡し、滞りなく

仕事を離れたあなたに


輝かしい花道が用意された。

「公文」社長を中心とした歓送会。

遠地からも駆けつけたひとびと


もっと内輪の会も、いくつもあったし

アシスタントを勤めて頂いた方々

との会もあった。


夏が来て、後始末が一通り終わり

気分一新の アドリア海クルーズを経て

退職金、退職年金を受け取るという


個人事業主として、営々と

自分で積んで来たもの

たったひとりで成し遂げた成果。


その金額の立派さに敬服する。

教室では「お買い物ごっこ」を創設し

勉学の進んだ子にポイントを付し


学用品の「お買い物」で還元するなど

子供の心を惹き付け、教室独自の

 太っ腹な支出を厭わなかったあなた

   爪に火を灯すのではなく

営々とではあっても、堂々とひとりで

形成した退職資産。心強いね


栄光の花道を降りて、いま

踏み出す新しい舞台への道筋。

あなたにはシャンソンもアリアも朗読もある


アレンジメントも料理もある。

仕事の柵から解放されて

おおいに羽ばたきたいね。


やりたいことが一杯

行きたいところがたくさん

一つずつ実現して行きたいね。


  2009.8.25

玉手箱目次へ    TOPへ    2010年へ