「まえがき」から引用する。
筆者の趣味で作った教科書で,一人でも多くの人と数学の楽しさを共有できたら幸いである。
本書は書名がいい。本書の書名を見てどのようなことを想像したかというと、「微分積分というものは本質的にむずかしい」と言おうとしているのではないか、ということだった。 別の意味としては、微分積分のむずかしさはさておき、その微分積分の中でも特に難しい分野を取り上げた、という意味もありうる。本書は、本質的にむずかしい、 という立場から書かれたものだと思っていて借りて読んでみたら、確かにそうだった(少なくとも私は、そう理解した)。というのも、本書の p.24 では、
微分積分は、数学の高等教育における最高峰のテクニック
と書かれているからだ。
ただ本書を読み進めていって、私は、難しい微分積分を取り上げたのではないか、と心配する部分があった。それは、微分と積分をつなげた人は誰か、ということについて、「ルベーグ先生」というスタンスで書かれているからだ。 「ルベーグ先生」とはアンリ・ルベーグのことだろう。ということはルベーグ積分が出てくるのか、と思って身構えてしまった。実際には、ルベーグ積分が出てくるところはなく、 あくまでお話として、微分と積分をつなげた人の名前としてルベーグの名前が出てきているということだ。そして、本書の改訂版である『面白いほどよくわかる微分積分』などでは、 「微分と積分をつなげたのはライプニッツ先生とニュートン先生の功績である」としている。理由はそのほうがより一般的だから、ということだ。それにしても、ルベーグの名前を出すところは改めて凄い。
本書は積分から紹介し、次に微分に行き、その後極限を学ぶ。そして微分の計算を解説したあと、積分の計算方法を説明する。最後には微分積分を総合したまとめである。 積分から先に入る書籍としては、一松信の「微分積分学入門第1講」~「微分積分学第4講」がある。
むずかしい微分積分 (www.medaka-college.com) にある。
数式は MathJax を用いている。
書名 | むずかしい微分積分 |
著者 | 大上丈彦 |
発行日 | 2003 年 5 月 10 日 初版第 1 刷 |
発行元 | 荒地出版社 |
定価 | 1800 円(本体) |
サイズ | A5 版 |
ISBN | 4-7521-0131-9 |
備考 | 越谷市立図書館で借りて読む |
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