「はじめに」から引用する。
現代数学、現代物理の多くは、多様体という一種の図形を舞台に繰り広げられます。現代数学、現代物理を学ぼうと思えば、 多様体の理解が絶対に必須です。
私は頭が悪いから、多様体とは何か、わからなかった。p.68 に次の記述がある。
4 次元立方体の展開図のひとつは、図 3.4 のように立方体 8 個になります。図 3.2 をよく睨んでイメージしてください。 見えない人は根性で心眼を開いてください。
数学は根性なのだろうか。根性で問題を解いていけばそのうちわかる、ということはあるかもしれないが、心眼は根性で開けるかというと私は疑問に感じる。 結局心眼が開けなかったので、私には多様体が理解できないのであった。 なお、4次元を見る能力を鍛えるのであれば、根上生也の「四次元が見えるようになる本」などがある。また、 宮崎興二、小高直樹の「図形科学」もある。
本書の書評を見ると、日本語に難があると指摘されている。そうかもしれない。一か所 p.80 から引用する。
著者は、4 次元立方体というのは、子供の頃に、4 次元とかタイムマシンについてのムック本をみたいなものを立ち読みしていたら、 そこにロバート・A・ハインラインの『歪んだ家』という SF 小説を漫画化したものが入っていて、そこに出てきて知りました。
この一文で、「著者は」という書き出しと「4 次元立方体というのは」の関係がすぐに結びつくだろうか。また、そこに
が二度出てくるのが稚拙であるという印象を与える。私ならば、
《著者は子供の頃に、…立ち読みしていたら、ハインラインの…ものが入っていて、そこで 4 次元立方体というのを知りました。》
とする。なお、次の段落もやはり主語の照応が取りにくい。引用は略する。
書名 | 多様体とは何か |
著者 | 小笠英志 |
発行日 | 2021 年 7 月 20 日 |
発行元 | 講談社 |
定価 | 1200 円(本体) |
サイズ | 新書版 |
ISBN | 978-4-06-523182-1 |
その他 | 講談社ブルーバックス、草加市立図書館にて借りて読む |
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