原著の表題は「EVERYDAY CALCULUS」
私がこの本を借りてきたのは「微分、積分、いい気分。」という書名に惹かれたからだ。 どこかのコンビニエンスストアの宣伝を借りてきたような本はどんなものだろうか、と気になったのだ。 岩波書店の企みにひっかかったともいえる。標題に句点があるのも「モーニング娘。」を意識したのだと思う。 なお、本書は「日本タイトルだけ大賞第9回」で個人賞(山田真哉賞)を受賞している。 そういえば岩波書店は、 「声に出して学ぶ解析学」という書籍も出している。
私は斜め読みしかしていない。そのため、立派な感想は書けない。 日常の生活に題材をとっているが故に、 インチやらマイルやら華氏(℉)やらドルやらの単位が本書のあちこちに現れる。 単位に慣れていない私には、微積分は日常とはほど遠い感覚のままだ。 それはさておき、私が許せないのは、グラフに単位がほとんど書かれていないことだ。 数学者は単位に無頓着なのだろうか。図 1.1 の横軸には t(時間) と書かれているのが、 これは本書では例外である。図 1.2 には縦軸・横軸とも単位はないが、 これは式の反比例関係に焦点を当てるためだろうから、単位を記さない理由がわかる。 ところが図 1.5 では圧力とサウンドレベルの関係であるのに、グラフには単位が記されていない。 本文中にも圧力とサウンドレベルの式があるが、 サウンドレベルの単位はデシベルであることは p.18 にある式のすぐ後に示されているのに、 圧力の単位がパスカルであることは p.19 のなかほどまで読まないとわからない。不親切だと思う。
私にとって面白かったのは、宇宙の年齢を推定するために使われる式を見られたことだ。本書 p.157 によれば、 宇宙の年齢 `T` は次の簡約された式で表されるという。ここで、`H_0` はハッブル定数、 `Omega` は宇宙パラメータである。
`T = 1/H_0 lim_(z->oo) int_0^z (dz)/((1+z)sqrt(Omega[(1+z)^2 - 1]+1))`
この積分と極限操作は実行すると次式が得られる:
`T = 2/(3H_0) 1/sqrt(1-Omega) ln[(1+sqrt(1-Omega)) / sqrt(Omega)]`
本書によれば、`T` は約 137 億 5000 万年となるのだそうだ。
このページの数式は MathJax で記述している。
書 名 | 微分、積分、いい気分。 |
著 者 | オスカー・E.フェルナンデス |
発行日 | 2016 年 5 月 26 日(第1刷) |
発行元 | 岩波書店 |
定 価 | 2200 円(本体) |
サイズ | A5版 208 ページ |
ISBN | 978-4-00-005886-5 |
その他 | 越谷市立図書館にて借りて読む |
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