「まえがき」から引用する:
この小著は常微分方程式の代表的ないくつかの分野への入門を目的とし, かつ全体として基本的な “常識” を身につけることをねらいとして書かれている.
各節には問があり、また章末には演習問題がある。これらの問や演習問題の解答は巻末にある。
私のように大学数学もわからない者には、荷が重い。連立線型方程式で、 行列の指数関数が導入される。そして行列のスペクトル分解についてていねいに記述されている。
本書では§ 12 で定数係数線型方程式の解法が述べられている。ここでは特殊な形の微分方程式について、 微分演算 `d/(dt)` を `D` という記号であらわし、 あたかも代数記号のように取り扱う「記号解法」が述べられている。 これは面白いが、目的によっては面倒であるという。著者はラプラス変換や演算子法を勧めているが、 これらについての記載は本書にないので、他の書物を見るしかないだろう。
ルンゲ・クタ法という読み方がおもしろい。
参考文献で、p.202 に次の記載がある。
最後に [27] は,非常にやさしい入門書で,日常の現象がいかにして常微分方程式の理論にのるかを, 個々の事例を挙げて述べてある.日本でも,これと同じ主旨で,さらに豊富な話題を取り上げた書物が, 佐藤総夫によって書かれたということである.出版を待ちたい.
この書物は、佐藤總夫「 自然の数理と社会の数理1, 自然の数理と社会の数理2 」だと思う。
このページの数式は MathJax で記述している。
書名 | 微分方程式の基礎 |
著者 | 笠原晧司 |
発行日 | 1982 年 6 月 20 日 初版第1刷発行 |
発行元 | 朝倉書店 |
定価 | 2500 円(本体) |
サイズ | A5版 207 ページ |
ISBN | なし |
その他 | 川口市立図書館にて借りて読む |
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