副題に「微分方程式で解説する」とある。 微分方程式の使われる分野として、美術、経営、軍事、政治、生理学、疫学、生態学などから例を挙げて、 懇切丁寧に説明している。 著者はまえがきで、I, II, III の三分冊にした、 と書いているが、第 III 巻は未だに出版されていない。そして著者は既に亡くなっている。 残念なことだ。 (2009-01-12)。 本書は 第 I 巻である。
名著である。 (2009-01-12)
p.105 で Paul R. Halmos : Finite dimensional vector space, Annals of Mathematical Studies, no. 7 Princeton University Press, 1948
のまえがき
が挙げられている。
That Hilbert space theory and elementary matrix theory are intimately associated came as a surprise to me and to many colleagues of my generation only after studying the two subjects separately. This is deplorable: it took us as much time to discover for ourselves that there is a connection as it took to learn the two seemingly separate disciplines. I present this little book in an attempt to remedy the situation. ......
どのように訳したらいいのだろうか。
ヒルベルト空間の理論と初等行列論が緊密に結びついていることは私にとって驚きであった。 そして私と同じ世代に属する同僚の多くはこれら2つの科目を別々に研究しただけだ。 これは悲しむべきことだ。この両者の緊密さを発見するには、 両者それぞれ別に見える原理を学ぶのと同じぐらい時間がかかる。 私はこの小著で状況を打開しようと試みた。
ちょっと面白いのは、行列 `A` に対して `t |-> e^(At)` を行列 `A` の指数関数とよぶことにしたあとのいろいろな扱いである。
`x(0) = x_0,`
`x' = Ax`
この解は、次のように書けるというのだ。I は単位行列である。
`e^(At) = I + A/(1!) t + A^2 / (2!) t^2 + ... + A^n/(n!)t^n + ...`
この事実を利用して次の微分方程式を解いてみよう。
`[[x'],[y']] = [[0, 1],[-1, 0]] * [[x],[y]]`
の解を求めるという問題が p.104 にある。初期条件は`[[x(0)],[y(0)]] = [[x_0],[y_0]]`である。
`A = [[0,1],[-1,0]]` であるから
`A^2 = [[0,1],[-1,0]]*[[0,1],[-1,0]] = [[-1, 0], [0, -1]] = -I`,
`A^3 = A^2 A = -I A = -A, A^4 = A^3 A = -A A = -A^2 = I`,
あとは気力が続いたときに書きたい。
このページの数式は ASCIIMathML で記述し、 MathJax で表示している。
書 名 | 自然の数理と社会の数理 I |
著 者 | 佐藤 總夫 |
発行日 | 年 月 日 |
発行元 | 日本評論社 |
定 価 | (本体) |
サイズ | A5 版 ページ |
ISBN | |
NDC |
まりんきょ学問所 > 数学の本 > 佐藤 總夫:自然の数理と社会の数理 I