上巻は主に初等幾何学、座標幾何学、アフィン幾何学について述べる。
Ⅰ部の1章 1.9 節は、モーリーの定理について述べられている。本書では、65 ページで
初等幾何学におけるもっともおどろくべき定理の 1 つ
として紹介している。
私はこの定理を清宮俊雄の「幾何学」という小冊子で初めて知り、驚いたことを今でも覚えている。
本書での証明についてはカッコがきで、
直接近づこうとすると,きわめて厄介であるが,逆向きに戻ることにして,
まず正三角形から出発し,一般の三角形を作り,あとでこれを与えられた三角形 ABC に同一視することにすれば,
困難は消えうせる.
として、この方針に沿った証明をしている。
同時期に借りた、溝上武實「初等幾何入門」では、<きわめて厄介>な証明が掲載されているので、
面白く感じた。
数式はMathJax を用いている。
誤植かどうかはわからないが、p.222 や p.223 で、`n` 先点のエピサイクロイド
や
`n` 先点のハイポサイクロイド
と書かれているが、一般には《 `n` 尖点のエピサイクロイド》や、
《`n` 尖点のハイポサイクロイド》と表記するのが普通だろう。おそらく訳者が、
「尖」の字が常用漢字でないことを考慮して「先」の字を当てたのだろう。
またこれも誤植かどうかはわからないが、p.223 でハイポサイクロイドの特殊な場合としてデルトロイドを紹介しているが、 通常はデルトイド(三尖形)と呼ばれている。
書 名 | 幾何学入門 上 |
著 者 | H. S. M. コクセター |
発行日 | 2011 年 8 月 20 日第2刷発行 |
発行元 | 筑摩書店 |
定 価 | 1600 円(税別) |
サイズ | |
ISBN | 978-4-480-09241-0 |
NDC | |
その他 | ちくま学芸文庫、越谷市立図書館にて借りて読む |
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