前分冊集合と位相Ⅰの続きである本分冊では、 位相論について述べる。
本書は「岩波講座 基礎数学」全 24 巻( 79 分冊) のうちの第 12 回配本のうちの 1 冊である。
私は頭が弱いから理解できない。 本文にびっくり記号(エクスクラメーションマーク、!)が使われているページもあるが、 第1分冊に比べて少なくなっているようだ。
§ 1.10 閉包の p.168 には次の定理が述べられている:
定理 1.8 `(X, d)` を距離空間,`S, T` を `X` の部分集合とすると, つぎの (Cl 1) - (Cl 4) が成り立つ.
(Cl 1) `bar(O/) = O/`
(Cl 2) `bar(S uu T) = bar(S) uu bar(T)`
(Cl 3) `S subset bar(S)`
(Cl 4) `bar(bar(S)) = bar(S)`
ここで `bar(S)` とは集合 `S` の閉包のことである。
p.173 では§ 1.10 の定理 1.8 では距離空間 `(X, d)` の部分集合 `S`
の閉包が四つの簡潔で美しい性質 (Cl 1) - (Cl 4) を持つことが示され,(後略)
とある。美しい、という形容詞が数学で使われるのは稀なことだろう。
p.173 以降はさらなる抽象化が待っている。私には及びもつかない世界である。
p.196 では、位相空間における第1類の集合とか第2類の集合などの用語が出てくる。 これらはベールの定理でおなじみの用語で、 特に関数解析にあっては重要な定理の証明にベールの定理が使われるほどだ。 ここで第1類の集合や第2類の集合の説明があるのはいいことだと思う。
頭が弱いので次の文も意味がわからなかった。p.200 の§2.6 分離公理の最初の文である。
位相空間の例として距離空間,Krull 空間,Zariski 空間,有限的位相空間などを挙げたが, それらを分類する一つの方法として以下に述べる(T0)- (T4)の Alexandroff-Hopf の分離公理(separation axioms)を用いるものがある. まず,位相空間 `X` に関するつぎの命題を考えよう.
(T0)`X` の任意の元 `x, y (x != y)` に対してそれらの一つの近傍で他の一つを含まないものが存在する.
命題(T0)は Kolmogorov の分離定理と呼ばれ(T0)を満たす位相空間は T0 空間または Kolmogorov 空間と呼ばれる.
命題 (T0) の意味がとれなかった。任意の元まではわかる。それらの一つというのは、`x` か `y` ということだろう。この近傍を考えると、他の一つというのは何か、元のことか、近傍のことか。
他の Web ページを調べたりして、結局、命題 (T0) のいおうとしたことは、 < `X` の任意の元 `x, y` を `x!=y` となるようにとる。そして `x` の近傍を `U`、`y` の近傍を `V` としたとき、 `x notin V` または `y notin U` を満たすような `U, V` が存在する > ということがわかった。もとの文で「他の一つ」というのは近傍をとらないほうの他の点だということだ。 私は記号に辟易することが多いが、こういう場合には記号のよさを再認識するのだった。
1つは問題を解きたいので、次の問題を選んだ。p.140 の問題 1.2 である。 本書のRは、引き写しにあたって黒板太字 `RR` にした。
問題 1.2 `(RR^2, d_("("a,b")") ) quad (a gt 0)` において,
`{x in RR^2 | d_("("a,b")")(x, bb0) = 1} quad (bb0 = (0,0))`は,楕円となることを示せ.
ここで `x in RR^2` の条件は、`x = (x_1, x_2)` とおくと、 `a(x_1 - 0)^2 + b(x_2 - 0)^2 = 1` と同じことである(詳細は本書 p.140 を参照)。 この条件を表わす式から、`(x_1, x_2)` は、 中心が `(0, 0)` 、長径が `max(1/sqrt(a), 1/sqrt(b))`、短径が `min(1/sqrt(a), 1/sqrt(b))` の楕円であることを示している。
このページの数式は MathJax で記述している。
書 名 | 集合と位相Ⅱ |
著 者 | 彌永昌吉・彌永健一 |
発行日 | 1977 年 6 月 2 日 第1刷 |
発行元 | 岩波書店 |
定 価 | |
サイズ | A5版 131-296 ページ |
ISBN | |
その他 | 岩波講座 基礎数学 草加市立図書館にて借りて読む |
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