イアン・スチュアート:世界を変えた17の方程式

作成日: 2015-10-01
最終更新日:

概要

人類の進歩を 17 の方程式を通じて語った物語。

17 の方程式

17 の方程式は次の通りである。

ピタゴラスの定理

`a^2 + b^2 = c^2`

対数

`log xy = log x + log y`

微積分

`(df)/(dt) = lim_(h -> 0) (f(t + h) - f(t))/h`

ニュートンの重力の法則

`F = G (m_1 m_2) / d^2`

マイナス 1 の平方根

`i^2 = -1`

オイラーの多面体の公式

`F - E + V = 2`

正規分布

`Phi(x) = 1 / (sqrt(2 pi) sigma) e ^ (- (x- mu)^2/ (2sigma^2))`

波動方程式

`(del^2 u)/ (del t^2) = c^2 (del^2 u) / (del x^2)`

フーリエ変換

`hat (f) (xi) = int_-oo^oo f(x) e^(-2pi i x xi) dx`

ナヴィエ=ストークス方程式

`rho (del bb v) / (del t) + bb v * nabla bb v = - nabla p + nabla * bb T + bb f`

マックスウェル方程式

`{:(nabla * bb E = 0 , nabla xx bb E = - 1/c (del bb H)/(del t) ), (nabla * bb H = 0, nabla xx bb H = 1 / c (del bb E) / (del t)) :}`

熱力学の第2法則

`dS >= 0`

相対論

`E = mc^2`

シュレーディンガー方程式

`ih/(2pi) del / (del t) Psi = hat H Psi`

情報理論

`H = - sum_x p(x) log p(x)`

カオス理論

`x_(t+1) = k x_t (1 - x_t)`

ブラック=ショールズ方程式

`1/2 sigma^2 S^2 (del^2 V)/(del S^2) + r S (del V)/(del S) + (del V)/(del t) - rV = 0`

感想

あまたある方程式からこの 17 に絞ったことについては議論があるだろう。 それに厳密な意味でいうと、上記は 17 の式は方程式ではなく定義式だったりするのもある。 また方程式とは左辺と右辺が等号(=)で結ばれているものだと思っていたが、上記には左辺と右辺が不等号(≧)で結ばれたものもある。 だからここでは 17 とか方程式とかにこだわらずに「世界を変えた」という表現に着目するのがいいのだろう。

それでも、方程式にこだわりたい。たとえば微積分なら、上記の微分の定義式ではなく、 微分積分学の基本定理

`int_a^b f(x) dx = F(b) - F(a)`

を挙げるのがいいだろう。これこそ、微分(表に出ていないが)と積分の関係を示す式である。

それから虚数単位 `i` についても定義式 `i^2 = -1` ではなく、オイラーの公式

`e^(i theta) = cos theta + i sin theta`

のほうがインパクトがあるような気がする。

また、熱力学の第2法則は不等式の形で表されているのが残念だ。どうせならエントロピーに関するボルツマンの公式

`S = k log W`

で示してほしかった(ボルツマンの公式は p.256 に掲げられているのに)。

カオスの項について、カオスの発見者である上田睆亮の名前がないのが残念だ。

参考リンク

数式表記

数式の表現にはMathJaxを使っている。

書誌情報

書 名世界を変えた17の方程式
著 者イアン・スチュアート
訳 者水谷 淳
発行日2013 年 10 月 25 日(第4刷)
発行元SBクリエイティブ
定 価2200円(本体)
サイズA5
ISBN978-4-7973-6970-0
備 考南越谷図書館で借りて読む

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MARUYAMA Satosi