石井 俊全:一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する

作成日:2018-04-30
最終更新日:

概要

著者曰く、読者には、数式レベルで語られる一般相対性理論を一般常識としてもらいたい。

感想

電磁気学の自習の本

表題は一般相対性理論であるが、大学の教養程度の電磁気学の自習書としてちょうどよいような気がする。 私は、大学の教養の電磁気学でベクトル解析ができずに意気消沈し、テンソルが出てきたところで勉強をやめてしまったのだった。 今この本で勉強できたら、復活できるだろうか。

なお、ベクトル解析でいえば、 この本で紹介されているのはガウスの発散定理とストークスの定理であり、グリーンの定理はないことを付け加える。

ストークスの定理は pp.87-88 で次のように述べられている。

閉曲線 $ C:\b{r}(s) $ とそれを境界に持つ曲面 $ \b{S} (u, v) $ 上の領域 `D` がある。 このとき,ベクトル値関数 $ \b{A}(\b{x}) $ に関して,
\[ \int_C \b{A} * d\b{r} = \int_D \rot \b{A} * \b{n} dS\]
すなわち,
\[ \int_C \b{A}( \b{x}(s))\cdot \frac{d\boldsymbol{r}}{ds} ds = \int_D \rot \b{A} (\b{x}(u,v)) \cdot \b{n}(\b{x}(u,v)) \left| \frac{\partial{\b{S}}}{\partial{u}} \times \frac{\partial{\b{S}}}{\partial{v}}\right| dudv \]
が成り立つ。

ここで、$ d \b{r} $ は曲線 `C` の接線ベクトルであり、 $ \b{n} $ は曲面 `dS` の法線ベクトル、$ \frac{\partial \b{S}}{\partial u} $ 、$ \frac{\partial \b{S}}{\partial v} $ は それぞれ `u` 方向の接ベクトルと `v` 方向の接ベクトルである。

驚きの定理

p.512 に、次のようなことが書かれている。

 曲面が曲がっているということは,3 次元空間におかれて初めて認識できるものだとふつう思います。 しかし,曲面の計量テンソル `g_(ij)` からガウス曲率 `kappa` を求めることができるということは, 曲面人でも自分たちの世界が曲がっているということを認識することができるということです。
 ガウスは,計量テンソル `g_(ij)` からガウス曲率を計算できることを発見して, この公式を「驚きの定理(Theorema Egregium)」と表現しました。

そういえば、ブルーバックスにも「ガウスの驚愕定理」として紹介されていたのもこれかな。

重力の影響がない慣性系

p.563 でスペースシャトルなど地球を回る衛星実験室で,重力の影響がない慣性系が実現されていますとある。 これを見て思い出したのが、VOW に出ていた看板「無重力の町宣言 上砂川町」だった。

索引

索引がないのが残念だ。

ASCIIMath を使っている。

書名一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する
著者石井 俊全
発行日2017 年 3 月 25 日 初版
発行元ベレ出版
定価3,500円(税別)
サイズ???
ISBN978-4-86064-498-7
その他越谷市立図書館で借りて読む

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MARUYAMA Satosi