カトマンズからベースキャンプ その1


コスモの倉庫で全装備 仕立隊員撮影

8月19日 関西国際空港〜カトマンズ
いよいよ出発の日。準備もあわただしく、関西空港へと向かう。
前回トレッキングにネパールに行ったときに比べ、初めてではない分、緊張感はさほど無い。
同じクラブの北村君が見送りにきてくれた。
一人だとさびしいので非常にありがたい。
また関西空港ではマナスルへと向かう盛岡の上野氏らとも会い、話を交わす。
同じくダウラギリを目指す石井隊の面々もこのときに一緒だったが、このときは知る由もなかった。
両手いっぱいの荷物は同じくネパールに向かう見知らぬお姉ちゃんにお願いして、
分担してもらい、超過金はゼロだ。貧乏隊なので、そこはなりふりかまっていられない。
すこしでもお金を節約しないと・・。

8月20日  カトマンズへ
約5ケ月ぶりのカトマンズ。
当然なにもかわっていない。
変わっているとすれば雨季に入っていたので雨が多かったいということだけだ。
空港にはコスモトレックのスタッフが迎えにきてくれていた。
カトマンズの町並みを車から眺める。
カトマンズの喧騒が懐かしい。いよいよやってきたんだな。
コスモで挨拶をし、登山料金などを払い込んで大金を手放したので、やれやれと一安心。
ところでコスモのクマール君はマイペース。
大津さんから「クマール!!クマール!!」とおこられっぱなしだ。
ほほえましい。

8月21日  買出し、キャラバン準備
買出し品のリストを作成し、店に注文をする。
また林さんの協力を得て京都府岳連の荷物を借りることができたので、
その荷物をコスモの倉庫から引っ張り出して、チェックしたあとパッキングを行う。
この荷物は非常にありがたかった。
そしてパッキング作業は、コスモに「たむろ」しているネパール人スタッフが
寄ってたかって手伝ってくれるので非常に助かり、滞りなく終了した。ここまでは順調。
あとは買出しをするだけだ。ほかの日本隊の人たちもごっちゃになって準備をしている。
関西空港であった盛岡の上野さんも一緒だ。
マナスルへ行くとのこと。
握手をして別れるとき、「こういう握手はなんかこれで最後、になるかもしれないからあれだねー」なんてことを言われ、苦笑い・・。

8月22日 買出し、キャラバン準備
朝から私とダワ、ニマ、アンプーリの4人で買出しに行く。
行きつけの商店があるのでそこで大量に注文しておいた食料品を受け取りに行く。
数量などをチェックした後、リキシャを3台ほどチャーターしてコスモに送り届けてもらうように手配する。
買い物内容は行動食のチョコレートやBCでの食料、ラーメンなど、
そしてやかんやスコップ、つるはしなどのBC建設用道具、
コンロやコンロの修理用部品など、本当に様々なものだ。
しかしそこは経験豊富なネパール人スタッフのアドバイスがあったのでスムーズにことが運んだ。非常にありがたい。
また、当初キャラバンを組んでBC入りする予定であったが、
ムクチナート方面に向かうヘリが格安で利用できるという情報を得た。
そこでキャラバンをした場合の値段と比較すると、ヘリのほうが安かったので急遽、ヘリで隊荷のみBCに運ぶことになった。
予定は未定、ここでは決めていた予定などは簡単に変わってしまう。

8月23日  買出し、キャラバン準備
ダワやニマ、アンプーリは明日の準備もあるので早くに家に帰っていった。
奥さんと子供にきっと装備費を渡すのだろう。
「お父さんは長期の出張に行ってくるよ」「父さん、無事に帰ってきてね」?といった会話を勝手に想像してしまう。

8月24日 チャーターバスにてポカラへ移動、隊荷、ポカラ空港へ
朝もまだ暗いうちからコスモに集合する。
まだ夜が明けないカトマンズの町は車も少なく、なんとも幻想的な雰囲気だ。
チャーターバスに荷物を詰め込んでいよいよ出発だ。ポカラまではバスで約7時間。
険しい道をバスはクラクションを鳴らしまくりながら爆走する。
途中、昼飯などを食べながら、思ったよりも早くにポカラに到着。
そのままバスで空港へ隊荷を移動させる。
数日前より天候待ちをしていた石井隊の荷物もここにある。
何度かヘリはとんだが、ガスが多くて結局引き返す、といったことをくりかえしているようだ。
せっかく購入した野菜が腐る、などの事態が発生しだしていた。
このままヘリがとばなかったらどうしよう。
そうなればキャラバンを組むしかなく、日程に遅れがでるかもしれない。
なんとか飛んでほしい。

8月25日 ヘリ、BCへ出発
朝、ホテルで目を覚まして窓の外を見ると、快晴であった。
よし、やったぞ、ヘリがとぶかもしれない。
いそいそと空港へ向かい、確認をとると、どうやら天気が回復したようなのでヘリは飛ぶようだ。
本当にラッキーである。ここまで、ネパール人スタッフの協力もあって非常にスムーズにことは運ばれている。
こういった幸運を味方につけるのも遠征登山では重要な要素かもしれない。
無事BCまで到着することを祈って、ポカラ空港でみんなを見送る。
プジャの旗を抱えたダワとニマ、そしてサーダーのアンプーリがにこやかに去っていく。
いままでいろいろご苦労様。
BCではさみしいだろうけど、なんとかがんばって待っていてほしい。

仕立 記

その2へ