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![]() 2組の炉と送風機 (後ろ姿が福村氏) |
![]() 真っ赤に焼けた炉と坩堝 |
![]() 鋳型への流し込み作業 |
![]() 完成した鏡材(左)と木型(右) |
今回の鋳造は、口径157mmの7ft鏡の境を厚さ24mm程度に仕上げたいという希望から、かなりの金属を溶かす必要があるため、福村さん所有の坩堝2個を同時使用して鋳型へたて続けに湯(溶融金属)を注ぎ込む計画です。主材料の銅には大電力用のケーブルの古材、30%混入させる錫は棒状の延べが用意され、福村さん等が前日から準備していた耐火煉瓦の炉とコークス、送風機、大型の鉄管を輪切りにした火力の囲いなどそれぞれ2基が並べられ、コークスに点火されて太い鉄管が赤く焼けてくる様子は壮観でした。その一方では、強い北風を避けられる建物の陰で福村さんがアルミ枠内に土をつめこんで鋳型を作り上げていました。
コークスの火力が強いので、坩堝に銅と錫を投入すると思ったより簡単に溶融します。これを鉄棒で撹拌すると流し込みの準備は完了です。
大きな坩堝ばさみで坩堝をつかみ、一気に鋳型へ流し込み、続けて二つ目の坩堝からもたて続けに流し込んで、主要な作業は完了です。それから後片づけでおよそ1時間経過した頃には日没も間近でした。鋳物の温度は手で触れられるほどではありませんが、鋳型をこわして鏡材の無事な姿が現れると、ようやくホッとした気分になれました。
喜多さんの車に乗せていただき柏駅についた頃にはすっかり暗くなっておりました。直径16cm、厚さ24mmほどの鏡材とこれより少し薄い盤材とを大切に抱えての帰路は、ずっしりとしたその重量のため私のウイークポイントの膝にかなりの負担がかかっていました。
その後は、コバ擂り・面取り・焼き鈍し、旋盤での荒削り、荒擂りと作業が続きましたが、金属材料の中からスが次々と現れて、2月末現在悪戦苦闘中です。
日本ハーシェル協会ニューズレター第120号より転載