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音楽をつくっていく上で、重要な要素の中に、
リズムというものがある。
このリズムがずれていると、
あまり、音楽を聴かない人たちにも、
ヘタッピなことがバレバレになってしまう。
ある意味、音程よりシビアといえる。
たぶん、人間の脳は音の微妙な高低差はある程度訓練しないと感じられないが、
リズム、縦位置のずれは簡単に感じるような構造になっているとおもう。そんな気がする。
で、人間というもの、標準状態では、
相当、身勝手なリズム感で楽器を演奏してしまう。
特に、一人だけで演奏する場合。
弾けないところは走ったり遅れたり。
簡単なところは、カウントをロストしたり。
まさに、「マイ・オウン・リズム」である。
この都合のいいリズム感だけに身を委ねていると、
演奏者としては、致命的な欠陥の持ち主になってしまう。
一生、一人で弾くのなら構わないが、
オーケストラの場合、そうもいっていられない。
というわけで、一人でさらう時に、重要になってくるのがメトロノームである。
あの、振り子が動いてカチカチいう機械。
もちろん電子式もあります。
われわれが、メトロノームを持ち出すのは、
なにも、メトロノームの繰り出す機械的なリズムを体得するのが目的ではない。
なぜなら、指揮者の人も含めて、人間の作り出すリズムは、
所詮は人間の繰り出すものなので、かなり、大ざっぱなものだからである。
実際、ほかのパートがつかまってる時に、指揮者の人を観察してみるとわかるが、
かなり、一定ではないリズムで指揮していることがわかる。
じゃあ、それは良くないのかというと、
そんなことはなくって、
そういうグルーヴを作り出していれば、
全然違和感などないのである。
では、なぜ、ひとりの時にメトロノームを使うのかというと、
一番重要なのは、
「マイ・オウン・リズム」ではなくて、
自分の身体の外のリズムに合わせて演奏するというトレーニングをするため。
メトロノームは、オレが弾けていようが弾けていまいが、
おかまいなしに「イッツ・オウン・リズム」を繰り出して進んでいってしまうので、
どうしても、こちらが合わせざるを得ない。
そのトレーニングを重ねることにより、
少し、人のリズムに合わせることが出来るようになりました。
オレ。
ただ、メトロノームの良くないところは、
リズムを合わせることに終始してしまいがちで、
一つ一つの音を噛みしめて弾くということがおろそかになってしまいやすいということです。
置きにいくっていうか、習慣的に、リズムを合わせるために、
ただ、音を当てはめていく作業になっちゃうっていうことですね。
ただ、だからといって、メトロノームを使わないのではなく、
タマに、メトロノームなしで練習してみるくらいの感覚にしています。
なしでやると、インターバルが多くて練習時間の割にあまり弾かないし。
リズムっていうのは奥が深くって、
例えば四分音符=144というテンポで同じパッセージでも、
こころの持ち方で、ゆったりと弾ける場合と、
アセって弾く場合と両方あるんですよね、ズレてないテンポの範囲内で。
この辺が、ノれてる時と、ノれてない時の差なのかなって思います。