Happy!



― 4 ―



仕度を済ませ朝食を取ろうと部屋に入ると、和葉がお茶を注いでいた。

「おっちゃん、オバチャンが注いだお茶の方がええ?」
「ん? 静のもええけど和葉ちゃんが注いだんも飲みたいわ」
「おっちゃん上手いなァ・・・あっ、平次、オハヨウ。具合はもうええの?」
「ああ、もうええわ。和葉、オレにもお茶入れてんか?」
「ん」
「和葉ちゃん、今日は何時から始まるん? 私も見に行こかと思てるんやけど」
「げっ、オカン来るんか?」
「あらええやないの。かわいい息子と和葉ちゃんの晴れ姿やで?」
「高校の行事に一々来んたてええよ」
「そないな言い方されると、余計行きたくなるわ」
「静、遠山とワシの分もよう見て来てや」
「来んたてええって!」
「ええやん平次、最後の体育祭なんやし」
「和葉、おまえなぁ・・・」

幸せな日常が、繰り広げられていた。





「そやそや、オレ、お前の衣装見てへんで?」
「そうやったっけ?」
「そやで。オレら男の応援の衣装、岡っ引きと祭がイメージやろ? そっちはどんななんや?」
「ギャル浴衣」
「はっ?」
「せやからギャル浴衣。膝丈でオフショルダーなん」
「オフショルダーって何なん?」
「んー、口で説明するより後で着替えるから、それ見てや」
「おう、わーったわ」

そんな会話をしながら教室に入っていくと、先に来ていたクラスメイトが声をかけてきた。

「あ、服部や!」
「風邪、大丈夫なん?」
「もうええんか?」
「おう、心配かけてスマンかったなァ。もう平気やで」
「ホンマか? 途中で具合悪うなったらちゃんと言えや?」
「そらおーきに。遠慮なく言うわ」
「何や服部出て来たんか? せっかくオレが団長やろうと思うてたんになァ・・・」
「ハハ。それは悪かったなァ」
「ったく、心配かけんなやなー」
「そうやで、昨日はホンマに焦ったで?」
「スマンスマン」

減らず口を叩きながらも、みんな平次が来たことを喜んでいた。

「それよか服部、早よ着替えて来いや。遠山ももう着替えに行ったで」
「そや、もう時間ないで。早よせや」
「おう」
「ほな後でな〜」



「あ、平次!」

着替えて教室に戻る途中、後ろから聞きなれた声が響いた。

「あん?」
「どう、この衣装?」

振り返った平次の目に映った和葉の姿。

「な、お前、それ衣装なん?」
「そやで。かわいいやろ?」

浴衣だと聞いていたのに鎖骨が全てキレイにあらわれ、肩も見え隠れしている。

「後ろもな、かわいいんやで」

くるりと背中をこちらに向けると、白いうなじと背中の3分の1がV字にあらわになっていた。

「な、それ肌蹴てんとちゃうのか?」
「ちゃうちゃう、そういうデザインなんよ」
「そんなん浴衣とちゃうやんか!」
「でもこれギャル浴衣いうて、今年の流行なんよ。かわいいと思うねんけどなァ」
「かわいいって・・・それ、動いてて肌蹴たらどないすんねん!」
「ああ、平気平気。この下平次たちみたいにさらし巻いてんねん。せやから大丈夫やで。
それよか早よ行こう。もうみんなグラウンドに向こうてるみたいやで」



楽しそうに鼻歌を歌う彼女の後ろで、ひとり真っ赤になっている彼。
昨日出した熱よりも、瞬間的にもっと体温が上昇していた―――







― Fin ―








翔眞ちんのステキなイラストは→こちらデス




初めての連載(というのかな?)ですが、連載にするような長さではないです(笑)
高校生って体育祭、6月にする所が多いのでシーズンネタとして
このたび持ってきましたが、今は秋の方が多いのかな?
ちなみにこのお話は平次と和葉ちゃんは高校3年生、という設定です。
当然二人の胸元には、御守りがありますv(←断言)
「こんな終わり方するなー!」と言われそうですが、勢いで考えたものなので
肝心な体育祭の内容が思いつかなかったのです・・・ι

普段割と露出の多い服を着ている和葉ちゃんなのですが、オフショルダーの浴衣のように
チラリズムの含んだ露出だと却って平次、照れるかなーと思ってみました。
でも今回は本当にダメダメでゴメンなさーい!









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>>>> Detective CONAN






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