Happy!
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仕度を済ませ朝食を取ろうと部屋に入ると、和葉がお茶を注いでいた。 「おっちゃん、オバチャンが注いだお茶の方がええ?」 「ん? 静のもええけど和葉ちゃんが注いだんも飲みたいわ」 「おっちゃん上手いなァ・・・あっ、平次、オハヨウ。具合はもうええの?」 「ああ、もうええわ。和葉、オレにもお茶入れてんか?」 「ん」 「和葉ちゃん、今日は何時から始まるん? 私も見に行こかと思てるんやけど」 「げっ、オカン来るんか?」 「あらええやないの。かわいい息子と和葉ちゃんの晴れ姿やで?」 「高校の行事に一々来んたてええよ」 「そないな言い方されると、余計行きたくなるわ」 「静、遠山とワシの分もよう見て来てや」 「来んたてええって!」 「ええやん平次、最後の体育祭なんやし」 「和葉、おまえなぁ・・・」 幸せな日常が、繰り広げられていた。 「そやそや、オレ、お前の衣装見てへんで?」 「そうやったっけ?」 「そやで。オレら男の応援の衣装、岡っ引きと祭がイメージやろ? そっちはどんななんや?」 「ギャル浴衣」 「はっ?」 「せやからギャル浴衣。膝丈でオフショルダーなん」 「オフショルダーって何なん?」 「んー、口で説明するより後で着替えるから、それ見てや」 「おう、わーったわ」 そんな会話をしながら教室に入っていくと、先に来ていたクラスメイトが声をかけてきた。 「あ、服部や!」 「風邪、大丈夫なん?」 「もうええんか?」 「おう、心配かけてスマンかったなァ。もう平気やで」 「ホンマか? 途中で具合悪うなったらちゃんと言えや?」 「そらおーきに。遠慮なく言うわ」 「何や服部出て来たんか? せっかくオレが団長やろうと思うてたんになァ・・・」 「ハハ。それは悪かったなァ」 「ったく、心配かけんなやなー」 「そうやで、昨日はホンマに焦ったで?」 「スマンスマン」 減らず口を叩きながらも、みんな平次が来たことを喜んでいた。 「それよか服部、早よ着替えて来いや。遠山ももう着替えに行ったで」 「そや、もう時間ないで。早よせや」 「おう」 「ほな後でな〜」 「あ、平次!」 着替えて教室に戻る途中、後ろから聞きなれた声が響いた。 「あん?」 「どう、この衣装?」 振り返った平次の目に映った和葉の姿。 「な、お前、それ衣装なん?」 「そやで。かわいいやろ?」 浴衣だと聞いていたのに鎖骨が全てキレイにあらわれ、肩も見え隠れしている。 「後ろもな、かわいいんやで」 くるりと背中をこちらに向けると、白いうなじと背中の3分の1がV字にあらわになっていた。 「な、それ肌蹴てんとちゃうのか?」 「ちゃうちゃう、そういうデザインなんよ」 「そんなん浴衣とちゃうやんか!」 「でもこれギャル浴衣いうて、今年の流行なんよ。かわいいと思うねんけどなァ」 「かわいいって・・・それ、動いてて肌蹴たらどないすんねん!」 「ああ、平気平気。この下平次たちみたいにさらし巻いてんねん。せやから大丈夫やで。 それよか早よ行こう。もうみんなグラウンドに向こうてるみたいやで」 楽しそうに鼻歌を歌う彼女の後ろで、ひとり真っ赤になっている彼。 昨日出した熱よりも、瞬間的にもっと体温が上昇していた――― ― Fin ― 翔眞ちんのステキなイラストは→こちらデス
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初めての連載(というのかな?)ですが、連載にするような長さではないです(笑) 高校生って体育祭、6月にする所が多いのでシーズンネタとして このたび持ってきましたが、今は秋の方が多いのかな? ちなみにこのお話は平次と和葉ちゃんは高校3年生、という設定です。 当然二人の胸元には、御守りがありますv(←断言) 「こんな終わり方するなー!」と言われそうですが、勢いで考えたものなので 肝心な体育祭の内容が思いつかなかったのです・・・ι 普段割と露出の多い服を着ている和葉ちゃんなのですが、オフショルダーの浴衣のように チラリズムの含んだ露出だと却って平次、照れるかなーと思ってみました。 でも今回は本当にダメダメでゴメンなさーい! |