17歳
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「ごめん・・・ごめんな・・・」 「・・・・・・」 「ホンマに、ごめん・・・」 「・・・・・・」 「ごめん・・・な、さい・・・っ・・・」 アタシの目から、再びぼろぼろと涙が零れ落ちる。 唇は、しゃくりあげながら「ごめん」だけを繰り返す。 そんなアタシに、平次は戸惑いを隠せへんでいる。 でも、アタシの涙は止まらない。 平次の顔がだんだんとぼやけ、そしてゆっくり見えなくなった。 + + +
「なァ、何で裏門なん?」 「ベツに」 「ベツにって、それやったらいつも通り帰ったらええやん」 「うるさいなァ。裏から帰ったってええやろ? ゴチャゴチャ言うんやったら置いてくで?」 「ちょっ、平次? もぅ、待ってよ!」 付き合い始めた頃、平次が見せた、ちょっとおかしな行動。 帰りの待ち合わせを、何でかいつも裏門に指定してた。 何でそんなことしたのか、その頃はわからへんかった。 「照れくさかったんや」 ずっと後になってその理由がわかったとき、「平次もそんな風に思ってたんや」って言うたら 子供みたいに拗ねて。 けど、アタシ、嬉しかったんよ。 やって、アタシも同じやったから・・・。 付き合ってるって自覚すんのも、友達にそう言うのも、凄く照れくさかった。 嬉しいんやけど、めっちゃ嬉しいんやけど、でも、ホンマ、色んな意味で照れてしもた。 あの頃は。 付き合い始めた頃は、笑っちゃうくらいひとつひとつのことにドキドキしてん。 隣にいて、何気ない弾みで肩が触れるだけでも心臓が跳ねたし たまに手ェ繋ぐときは、汗かかへんか心配やったし、気持ちが伝わりそうで照れたりもした。 バイクの後ろに乗るときなんか、この鼓動が伝わったらどないしようって、めっちゃ緊張してた。 もう「静まれ、心臓!」って、いつもいい聞かせてた。 平次の後ろには乗りなれているはずやのに、乗れることは嬉しいはずやのに。 バイクで出かけるって言われると、ちょっとだけ、ホンマちょっとだけ、溜め息つきたなった。 やってな、アタシひとりがドキドキしとるみたいで、恥ずかしかったんよ。 |