雨上がりの夜空に



{8若葉雨〜わかばあめ}



「よう、待ってたで、遅かったやないか」
「スマンスマンおっちゃん、ちょっと色々立て込んでてな」

着いた先は学校から少し離れた、バラックにしか見えない小さな店。
良く判らない部品が雑然と積まれている。
その奥から、今時珍しい鼻眼鏡をかけた小柄な老人が現れた。
油で汚れた体格の割りに大きな手を、これまた油まみれのエプロンでこすって、
親しげに平次に話しかけている。
彼はふと、ものめずらしげに店内を見回す和葉に目をとめ、にやっと笑った。

「・・・あのコかいな。なかなかカワイイコやなァ」
「あほっ、しぃっ!・・・・早う出してや・・」
「はいはい、・・・お嬢ちゃん、面白いもんあるか?」
「うん。あ、はい、初めまして!」
「ハイなァ、いつでも来たってや」

老人がニコニコと奥へ行くと、和葉は平次に小さくささやいた。

「なあ、何しに来たん、アタシら・・」
「お前、あそこで着替えて来いや」
「え?!あんなとこで?嫌や」
「ちゃんと言うたあるから心配せんでエエ。オレも着替え持って来たから・・」
「え・・・っ・・・?」

平次が鞄からジーパンとジャンパーを出す。

「預かっといた奴やで、ホレ」

いつの間にか戻ってきていた老人がポイと手渡したのは馴染みのヘルメット。
和葉は目を丸くした。

「平次・・・・・」
「晴れたら行く、言うてたやろ」
「・・・・・・・・」

黙り込んでしまった二人に、老人は思わず助け舟を出した。

「あ、ほらお嬢ちゃん、ヘルメット。早よ着替えておいで」

和葉は無言のままヘルメットを受け取って頷くと、ほころぶ口元を見られるのが恥ずかしくて
少し俯いたまま洗面所にきえた。
老人はにこにこと二人を見守りつつ、チョイと平次の腕をつついて耳打ちした。

「チューンアップ、ばっちりにしたあるからな。
もし事故ったりしたら、浮かれすぎた兄ちゃんが悪いいう事になるで、気ィつけて行きや!」




















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